2018 年 34 巻 4 号 p. 172-181
小児・先天性心疾患(CHD)を対象とする小児循環器領域の植え込み型心臓電気デバイス治療は,ペースメーカ(PM)が主流で,植え込み型除細動器(ICD)や心臓再同期療法(CRT)の適応は少ない.CHD非合併小児のPMは,体格が小さい場合心外膜リードを用いる.適応疾患は先天性完全房室ブロック(CCAVB)が多い.ICDの対象はQT延長症候群や肥大型心筋症が多いが,体重20~30 kg以下ではショックリードの植え込み方法に工夫を要する.CRTは,心筋症・CCAVBが多く,左室伝導遅延を伴う左室同期不全例には効果的であると考える.CHDでは,静脈アクセスが制限されている場合,心内シャントがある場合には心外膜リードを用いる.PMの適応には解剖,手術,血行動態の理解が必要で,PM設定は血行動態への影響が大きく,血行動態を評価しながら決定する.ICDの適応は,成人が多いが,心臓突然死一次予防については確立されたものはない.CRTは,心室形態・同期不全のパターンを加味してリード位置を決定する.