日本小児循環器学会雑誌
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原著
先天性心疾患を有する18トリソミー児に対する姑息術が在宅移行へ与える効果
柘植 智史 面家 健太郎寺澤 厚志山本 哲也後藤 浩子桑原 直樹岩田 祐輔竹内 敬昌桑原 尚志
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2019 年 35 巻 4 号 p. 271-276

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抄録

背景:18トリソミー児の先天性心疾患に対しては現時点で明確な治療指針が定まっていない.当施設では,手術介入が在宅移行にあたって不可欠で両親の介入希望がある場合のみ姑息術に限って行う方針としている.

方法:2010年1月~2016年9月に当科で診察した17例を対象として,姑息術の有無が在宅移行へ与える効果について後方視的に検討した.在宅移行にあたり手術介入を行った例(I群=5例)と行わなかった例(N群=12例)に分類し,2群間で比較した.

結果:2017年8月末時点で,生存日数の中央値はI群427日,N群255日であった(p=0.1168).院内死亡例はI群1例,N群5例で,在宅期間(=死亡日齢−退院日齢)の中央値はI群647日,N群72日であった(p=0.0495).

結論:在宅移行に向け姑息術を行うことで生存日数および在宅期間を延長し,児と家族が一緒に過ごせる期間を長くできる可能性がある.

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© 2019 特定非営利活動法人日本小児循環器学会
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