日本小児循環器学会雑誌
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症例報告
心外導管型フォンタン手術後遠隔期に導管狭窄をきたした2例
満尾 博帯刀 英樹坂本 一郎小野 友行塩瀬 明
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2020 年 36 巻 1 号 p. 84-89

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抄録

フォンタン手術後の外科的再介入としては,TCPC (Total cavopulmonary connection)コンバージョン,ペースメーカー植え込み術,房室弁形成/置換がある.導管狭窄は稀な合併症であるが再導管置換の報告はほとんどない.今回,心外導管型フォンタン手術後遠隔期に導管狭窄をきたし再手術を施行した2症例を経験したので報告する.症例1は20歳男性.三尖弁閉鎖症に対して,3歳時に心外導管型フォンタン手術施行.19歳時に完全房室ブロックとなり,ペースメーカー植え込みが必要となった.精査にて中等度の新大動脈弁閉鎖不全と心外導管狭窄を認めた.再心外導管置換,新大動脈弁置換術,心外膜ペースメーカー留置術を施行した.症例2は20歳男性.肺動脈閉鎖症に対して5歳時に心外導管型フォンタン手術施行した.19歳時に倦怠感と下血・喀血の出現あり.心臓カテーテル検査にて圧較差14 mmHgの導管狭窄を認めた.20歳時に導管置換術施行した.フォンタン手術後の導管狭窄の報告は少ないが,重篤な合併症であり,フォンタン手術後の心臓カテーテル検査にて導管の屈曲等を認める場合には,注意深く経過を観察する必要がある.

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