日本小児循環器学会雑誌
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症例報告
多孔性筋性部心室中隔欠損症における心臓MRI二次元位相差コントラスト法を用いた心室中隔en face画像の有用性:僧帽弁狭窄を合併した幼児例の考察
浦山 耕太郎真田 和哉野中 春輝森田 理沙田原 昌博佐藤 友保山田 和紀
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電子付録

2022 年 38 巻 3 号 p. 189-195

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抄録

心室中隔欠損症(VSD)のうち,筋性部の肉柱部中隔に存在するものは多孔性であることが多く,心臓超音波検査による形態や短絡量の評価は困難なことがある.一方,心臓MRI位相差コントラスト法(Phase Contrast:PC法)は,任意の断面において直行する血流を撮像できる.今回,perimembranous VSD(pmVSD)と多孔性のmuscular VSD(mVSD)に僧帽弁上狭窄輪(supra mitral ring: SMR)を合併した1歳の症例にPC法を用いてVSD en face画像を撮像し,複数あるVSDの位置を描出し,欠損孔毎の短絡量を計測した.肺体血流比(Qp/Qs)2.05,短絡血流の内訳は,pmVSD 76.4%,mVSDのうち右室流出路(RVOT)近傍の最も大きな欠損孔は13.4%であった.SMRの解除,pmVSDの閉鎖に加え,RVOTからアプローチし,mVSDの最大孔とその近傍の孔を閉鎖した.術後,遺残短絡は少量で,PC法でQp/Qsは1.05であった.mVSDに対するPC法を用いたen face画像は孔の位置の同定や短絡量の推定に有用で,術前評価の一助となりうる.

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© 2022 特定非営利活動法人日本小児循環器学会
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