わが国においても2009年以降,Amplatzer™ duct occluder I[Abbott社;Chicago, IL]を始めとする各種デバイスが保険収載となり,コイルを用いた動脈管(patent ductus arteriosus: PDA)閉鎖術の件数は減少した.さらに最近ではFlipper PDA coil(F-coil)[Cook社;Turlock, CA]も製造中止となり,PDA閉鎖栓としてのコイルの役割はますます減少していかざるを得ないだろう.しかし,長い間F-coilを使用して培った経験や知識,すなわちPDAの形態や特性,診断・読影上の注意,コイル塞栓術の適応や手技の留意点,合併症などは,他のデバイスを使用してのPDA閉鎖術,様々な血管系のコイル塞栓術にも有用な情報を提供してくれるだろう.またF-coilの供給が途絶えた後にも,他のコイルを使用して小さな動脈管を閉鎖することも考えられる.そのような時代の中で,今後のカテーテル治療にも役立つと思われる知識・情報について,広島市民病院・循環器小児科時代に得た経験をもとにまとめてみたい.
抄録全体を表示