日本小児循環器学会雑誌
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症例報告
Blalock–Taussigシャント術後に発症したStaphylococcus capitisによる感染性動脈瘤に対しハイブリッド手技を用いた外科的治療を行った1例
玉木 愛乃 藤岡 泰生國方 歩杉山 隆朗稲毛 章郎小林 城太郎大石 芳久
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2022 年 38 巻 4 号 p. 243-248

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抄録

感染性動脈瘤はmodified Blalock–Taussig(mBT)シャント造設後に発症する稀な合併症である.致死的な経過を辿ることもあり迅速な治療が必要であるが画一した治療方法はない.今回mBTシャント術後に発症した感染性動脈瘤に対しカテーテル手技とのハイブリッド手技により安全に外科的治療を行えた症例を報告する.症例はファロー四徴症に対し左mBTシャント術後の5か月男児で,低酸素血症を主訴に来院し造影CT検査にてシャント位置に動脈瘤を認めた.また血液培養検査でStaphylococcus capitis陽性であり同菌による感染性動脈瘤が疑われた.抗生剤加療のみでは治療難渋し,感染巣の摘出が必要と考えた.胸骨正中切開の際に動脈瘤破裂や出血のリスクがあるため動脈瘤への流入血管でバルーン留置行い,完全に血流を遮断したうえで動脈瘤の摘出を行った.また同時に新規肺血流確保のため右室流出路再建を施行し術後56日に退院した.感染性動脈瘤に対するハイブリッド手技は補助治療として有力である.

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© 2022 特定非営利活動法人日本小児循環器学会
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