日本小児循環器学会雑誌
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QT延長症候群
吉永 正夫
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2023 年 39 巻 3 号 p. 132-143

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抄録

QT延長症候群(LQTS)はイオンチャネルあるいはイオンチャネルに影響を与えるタンパクをコードする遺伝子の遺伝子変異による心筋細胞の再分極異常により,心電図上,QT時間の延長,倒錯型心室頻拍(torsade de pointes)を示し,失神,けいれん,心臓突然死,救命された心停止を主症状とする疾患である.責任遺伝子として17種が報告されているが,見直しが始まっている.主要なタイプはLQT1,LQT2,LQT3の3型である.遺伝子変異が見つかるのは約2,000人に1人,学校心臓検診(心臓検診)でLQTSの診断基準を満たすのは中学1年時で約1,000人に1人である.治療は遺伝型と表現型(症状)との関連に基づいて行われる.生活指導の徹底,薬物療法の改善等によりLQTS, 特に心臓検診で診断されるLQTSの予後は著明に改善されつつある.

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© 2023 特定非営利活動法人日本小児循環器学会
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