2023 年 39 巻 3 号 p. 126-131
小児の先天性心疾患に対するバルーン弁形成術および血管形成術は,現在では心臓カテーテル治療の中で最も確立された治療となっている.なかでも,バルーン肺動脈弁形成術,バルーン肺動脈形成術,およびバルーン大動脈弁形成術は,臨床現場において特に治療頻度が高い手技である.この総説では,まずバルーンカテーテルの性質およびバルーンカテーテルの基本的操作につき説明する.これらは,治療対象となる病変部位にかかわらず,術者が知っておくべき共通事項となる.次いで肺動脈弁,肺動脈,大動脈弁,シャント術後狭窄に対するバルーン形成術について概説する.これら治療対象となる部位により,治療適応,選択すべきバルーンの種類,適切なバルーンサイズ,バルーン拡張圧,バルーンの拡張方法が異なる.有効かつ安全なバルーン形成術を行ううえで,これら治療対象部位による違いを押さえておくことが重要である.