2024 年 40 巻 2 号 p. 103-112
心不全とは心臓のポンプ機能が低下し,全身の臓器に必要とする酸素が供給できない状態とされる.胎児心不全の場合胎児水腫を認めることが多いが,胎児水腫=胎児心機能低下ではない.胎児の全身状態を評価する際には胎児循環や胎児の生理学的な特性を念頭に置く必要がある.胎児心機能の評価方法はさまざまあり,収縮能や拡張能を交えて総合的に評価するが,その一つにCVPスコアがある.胎児心機能だけでなく,動静脈ドプラを組み合わせていることがその特徴である.また胎児心不全に至った原因により病態生理に合わせた項目を選択し評価する必要がある.例えば高拍出性心不全では心拍出量が鍵となり,エブスタイン病では左室のTei indexや三尖弁逆流の最大血流速度などが重要となる.どの疾患においても胎児水腫が完成する前の娩出が望まれるものの胎児の未熟性との兼ね合いを考慮し,生後の治療を念頭においた総合的な周産期管理が望まれる.