日本小児循環器学会雑誌
Online ISSN : 2187-2988
Print ISSN : 0911-1794
ISSN-L : 0911-1794
症例報告
運動負荷心エコー図により心室中部閉塞を診断することができた無症候性小児肥大型心筋症の1例
小野 奈津子 住友 直文福島 裕之古道 一樹山岸 敬幸
著者情報
ジャーナル フリー

2024 年 40 巻 4 号 p. 272-276

詳細
抄録

肥大型心筋症(hypertrophic cardiomyopathy: HCM) において,心室中隔壁中部の肥大による心室中部閉塞(mid ventricular obstruction: MVO)が心臓突然死のリスクとして指摘されている.小児ではMVOの報告は稀であり,その臨床像は不明で,管理方法も定まっていない.また,MVOに対する運動負荷心エコー図の報告は少なく,その意義は明らかでない.今回,運動負荷心エコー図によりMVOと診断した無症候性の小児HCM症例を経験した.症例は15歳男児.安静時心エコー図で心室中隔中部に進行性の心筋肥大があり,運動負荷心エコー図で同部位に高度の圧較差を認めたため,β遮断薬を導入し,運動を制限した.運動負荷心エコー図は,小児の無症候性HCMの管理において,有意なMVOを早期に検出するために有用である.

著者関連情報
© 2024 特定非営利活動法人日本小児循環器学会
前の記事 次の記事
feedback
Top