2024 年 40 巻 4 号 p. 272-276
肥大型心筋症(hypertrophic cardiomyopathy: HCM) において,心室中隔壁中部の肥大による心室中部閉塞(mid ventricular obstruction: MVO)が心臓突然死のリスクとして指摘されている.小児ではMVOの報告は稀であり,その臨床像は不明で,管理方法も定まっていない.また,MVOに対する運動負荷心エコー図の報告は少なく,その意義は明らかでない.今回,運動負荷心エコー図によりMVOと診断した無症候性の小児HCM症例を経験した.症例は15歳男児.安静時心エコー図で心室中隔中部に進行性の心筋肥大があり,運動負荷心エコー図で同部位に高度の圧較差を認めたため,β遮断薬を導入し,運動を制限した.運動負荷心エコー図は,小児の無症候性HCMの管理において,有意なMVOを早期に検出するために有用である.