抄録
小児歯科診療において,小児の協力性の向上を図るためには治療時の疼痛のコントロールを行うことが重要であり,無痛的に治療を行うためには局所麻酔剤の使用が不可欠である。しかし,小児では局所麻酔のための注射が恐怖の対象となりやすく,いかに痛みを少なく局所麻酔を行えるかが小児の診療を成功させる鍵ともなる。小児への効果的な局所麻酔法のポイントとしては,表面麻酔薬の活用,視覚的恐怖の軽減,刺入時の留意点,薬剤の注入法(GSL 法)や術後の麻痺感への対応があげられる。また,小児の局所麻酔に関しては,その安全性やアレルギーが問題とされることが多い。局所麻酔剤の安全性を明らかにするために行われた実態調査の結果からは,幅広い年齢の小児に局所麻酔を用いた治療が行われており,5 歳以下の小児が約3 割,局所麻酔が初めての小児も16.2%を占めていた。術中,術後の不快事項はそれぞれ2.6%みられたが,局所麻酔剤の副作用を疑わせるものは数例であり,いずれも重篤なものではなかった。局所麻酔剤のアレルギーに関しては,当科から小児科にアレルギー検査を依頼した小児の陽性率は比較的高く,事前の十分な医療面接と必要に応じたアレルギー検査が大切で,医科との連携が望ましいことが示唆された。