抄録
Prader-Willi 症候群(PWS)は,病態が加齢とともに変化し,特に性格障害が問題となることが多い。また,PWS の患者は,一見協力的に見えるため,歯科治療に際し術者側も行動変容法での対応をしがちであるが,実際には説明に対し理解していないことも多く,治療困難となる場合がある。本症例では,歯科治療に対して,幼児期は協力的だった患児が,徐々に非協力となり,思春期ごろから治療困難になったため,全身麻酔下での治療を選択した。その結果,ストレスのかかる治療を全身麻酔下で行った後は,患者の情緒の安定も加わり,行動変容法での歯科治療が再度有効となった。