小児歯科学雑誌
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臨床
上顎右側臼歯部に発生したエナメル上皮線維歯牙腫の1例
高木 愼田村 博宣矢部 孝
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2014 年 52 巻 1 号 p. 77-82

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抄録
エナメル上皮線維歯牙腫は歯原性上皮と歯原性間葉組織からなる軟組織中にエナメル質や象牙質等の硬組織形成をみる比較的まれな良性歯原性腫瘍である。今回われわれは上顎右側大臼歯部に発生した本腫瘍の1 例を経験したので報告する。症例は9 歳男児,初診:2011 年7 月,既往歴に特記事項なく,現病歴は近医でのパノラマエックス線写真で上顎右側臼歯部に拇指頭大で内部が不均一なエックス線不透過像を含む境界明瞭な嚢胞様エックス線透過像の病変とその病変により上方に圧迫され,埋伏した上顎右側第二大臼歯を指摘され,当科受診した。現症は顔貌左右対称,口腔内所見は上顎右側臼歯頬側部に骨様硬の膨隆を認めた。処置および経過は,2011 年8 月上顎右側歯牙腫の臨床診断のもと全身麻酔下で腫瘍摘出術を施行し,埋伏右側上顎第二大臼歯の萌出を期待し,開窓した。病理組織学的にエナメル上皮線維歯牙腫の確定診断を得,10 か月後,埋伏歯は,萌出傾向であった。今後も長期に経過観察予定である。
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© 2014 日本小児歯科学会
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