2015 年 53 巻 4 号 p. 471-476
臨床前模型実習での評価方法の検討を目的に,教員が行った採点と三次元レーザー形態計測センサーによる窩洞・支台歯形成技能評価についての比較,および学生へのアンケート結果から,下記の結果を得た。
1 .教員評価は,6 項目中平均合格項目数は4.2 項目であった。また,評価項目ごとの合否の結果にはばらつきがみられた。
2 .機械評価は,60 点以上群と60 点未満群でその分布が異なっていた。
3 .項目別評価の学生1 人あたりの合格項目数は,機械評価60 点以上群と60 点未満群とでは差が認められなかった。また,重回帰分析の結果からは両群ともに関連している項目はなかった。
4 .学生のアンケートからは,「機械の採点と教員の採点の両方とも良い」,「機械の採点の公平性が高い」,「教員の採点のほうがわかりやすい」という意見に加え,「教員の採点と機械の採点の違いに混乱した」という意見があった。
今回の結果から,機械による評価と教員による評価は異なっていた。しかし,機械の採点と教員の採点に差を感じない学生が半数いることや,模範窩洞と自分の形成した窩洞を横に並べた画像を提供することがわかりやすいという意見が多かったことから,今後はソフトによる採点方法の検討とともに学生にわかりやすい採点結果のフィードバックが必要と考えられた。