小児歯科学雑誌
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原著
歯列模型測定用三次元スキャナの臨床的測定精度に関する研究
藤原 恵酒井 暢世清水 結花塩田 亜梨紗松山 真理子那須 大介菊池 元宏朝田 芳信
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2015 年 53 巻 4 号 p. 462-470

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抄録

歯列模型の分析は歯科領域の研究および臨床において必要不可欠なものである。鶴見大学歯学部小児歯科学講座では三次元測定装置としてR700 3D Scanner for Orthodontics(3 Shape. Inc Poland 以下,R700)の使用を予定しているが,その精度に関しては客観的な報告がない。また,同装置を使用した仮想空間上における実際の模型測定の精度に対する報告もない。そこで同装置の精度や指示点の指示に対する精度,そして実際の歯列模型測定時における精度を調べるため,ゲージブロック,精度測定用歯列模型および実際の歯列模型を資料とし,各々を測定したところ,以下の結果を得た。

1 .R700 の精度は,全ての軸方向においてその平均の最大値が0.02 mm であり,公称精度を保っていた。

2 .精度測定用歯列模型とその陰型の上顎右側乳犬歯咬頭頂の三次元座標の平均値の差は全ての軸方向において最大0.02 mm 程度であったが,その偏差は陰型の方が有意に小さかった。

3 .実際の歯列模型ならびにその仮想歯列模型に対し,大坪らの計測基準に準じた8 部位を測定した結果,最大誤差は0.52 mm,誤差平均は0.22 mm であった。

このように,R700 の測定精度は良好な結果を示した。また,実際の歯列模型における測定精度は0.2 mm 程度を想定する必要があることが示唆された。また,仮想空間上で測定を行うことにより,より簡便かつ高精度で安定した結果が得られる可能性が示唆された。

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© 2015 日本小児歯科学会
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