小児歯科学雑誌
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臨床
後継永久歯の萌出障害を生じた上顎乳中切歯水平埋伏の1例
奥野 瑛田中 光郎
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2015 年 53 巻 4 号 p. 512-517

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抄録

乳歯の埋伏は稀であり,その中でも乳切歯の埋伏は非常に稀であり,報告されている症例数も限られている。永久前歯の埋伏はその原因が比較的特定しやすく,先行乳歯の外傷や根尖病巣がその後継永久歯の歯胚に影響を及ぼし,萌出方向を変えてしまったり,病巣を回避してしまったりすることによって,生じることが多い。しかしながら乳歯については不確定要素が多く,外傷の既往の有無,あるいは外傷による外力が未萌出の乳歯歯胚の位置や方向に影響を与えうるのかということについても明確に結論付けることが困難である。また,乳切歯の埋伏は抜歯した後も,保隙の問題,後継永久歯の萌出の異常などを伴う事が多く,永久歯列に与える影響が少なくない。本症例報告では,上顎左側乳中切歯の水平埋伏により永久歯歯胚の位置異常をきたし,歯列に影響を与えた症例について,過去の報告と比較しながら原因について考察し,対応法を含めた検討を行った。

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© 2015 日本小児歯科学会
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