小児歯科学雑誌
Online ISSN : 2186-5078
Print ISSN : 0583-1199
ISSN-L : 0583-1199
原著
本学附属病院小児歯科における歯の白斑の実態調査
若松 紀子岡野 哲近藤 裕子小倉 実里小倉 英稔村林 知香近藤 亜子長谷川 信乃飯沼 光生
著者情報
キーワード: , 白斑, 小児, 実態調査
ジャーナル フリー

2015 年 53 巻 4 号 p. 504-511

詳細
抄録

本邦において,小児における白斑出現頻度の調査は少なく,その実態は不明である。本研究は,平成 26 年7 月22 日から8 月30 日の間に本学附属病院小児歯科を受診した小児患者1130 名に対して,白斑罹患の実態を調査した。上下顎前歯,および犬歯唇側面の白斑の有無を視診にて判定し,歯の外傷の既往歴,並びにその他特記事項についても調査し以下の結論を得た。

1 .乳歯列期では対象者の12.9%(19/147 人)に白斑を認め,上顎での白斑出現率は下顎よりも有意に高かった。

2 .混合歯列期では対象者607 人のうち168 人に白斑を認めた。168 人のうち乳歯のみに白斑を認めた者は 19 人(3.1%,19/607 人),永久歯のみに白斑を認めた者は138 人(22.7%,138/607 人),乳歯と永久歯どちらにも白斑を認めた者は11 人(1.8%,11/607 人)であった。上顎両側中切歯の白斑出現率は,他部位に比較して有意に高かった。

3 .永久歯列期では対象者の23.9%(90/376 人)に白斑を認め,上顎前歯部の白斑出現率は他部位に比較して有意に高かった。

4 .乳歯歯頸部に白斑を有する者の割合は,混合歯列期に比べて乳歯列期の方が有意に高い値であった。一方,永久歯歯頸部に白斑を有する者の割合は,混合歯列期と永久歯列期で有意差は認めなかった。

5 .乳歯外傷が原因と考えられる永久歯の白斑が,混合歯列期で14.3%,永久歯列期では10.0%認められた。

以上より,乳歯列期からの継続的な口腔衛生指導,齲蝕予防処置と共に,幼若永久歯の白斑病変への積極的な対応が必要であることが示唆された。

著者関連情報
© 2015 日本小児歯科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top