小児歯科学雑誌
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原著
卒乳に関する保護者の意識調査
井出 正道成宮 秀子島崎 絵美熊谷 純子朝田 芳信
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2016 年 54 巻 4 号 p. 462-469

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抄録

本調査は,卒乳に関する保護者の意識を調査することを目的として行った。保健所で実施された1 歳 6 か月児健診を受診した小児の保護者348 名を対象として,アンケート調査を行い,卒乳に関する保護者の意識に関する実態調査を行った。また,それらの小児の齲蝕罹患状態についても調査した。その結果は以下のとおりである。

1 .授乳をしている小児は114 名,卒乳している小児は234 名であり,授乳している小児の割合は32.8%であった。

2 .授乳している小児では,母乳を飲んでいる小児(83 名)が多く,夜寝る時(79 名)や夜中(53 名)に飲ませているものが多かった。今後の授乳をどうするかについては,これからも続けたいと考えているもの(79 名)が多かった。授乳を継続する理由は,子どもが欲しがるから(53 名)が多かった。

3 .卒乳している小児では,自然に卒乳したもの(137 名)が最も多かった。卒乳した理由は,幼児食をしっかり食べるようになった(109 名)が多かった。

4 .卒乳している小児234 名のうち齲蝕に罹患しているものは16 名(6.8%)であったのに対して,授乳している小児114 名のうち25 名(21.9%)が齲蝕に罹患しており,授乳している小児の齲蝕罹患率が有意に高かった。

これらの結果から,卒乳は小児の摂食機能の発達に合わせた保育によりスムースに行えるのではないかと推察された。また,1 歳6 か月時に卒乳していないと,齲蝕に罹患する危険性が高まることが示唆された。

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© 2016 日本小児歯科学会
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