2017 年 55 巻 1 号 p. 1-10
口腔周囲の力が,歯列の形成や咬合・嚥下等にどのような影響を及ぼすかを検討する目的で,口唇閉鎖力とその他の力の成長や関係性の検討を行った。正常咬合とされる8 歳から25 歳の,計45 名を対象とした。多方位口唇閉鎖測定装置を用いて口唇閉鎖力,簡易型舌圧測定装置を用いて舌圧・頬圧,スメドレー式握力計を用いて握力を測定した。8 歳前後の児童においては11 歳以上に比較して,8 つのチャンネルのうち下口唇の閉鎖力が相対的に有意に強い結果となった。また,口唇閉鎖力とその他の力の相関について,舌の口蓋への押し当てる力は,成人になるに従い正の相関が強くなった。頬の歯列方向への力や,握力との間には全年齢群において正の相関を認めた。口唇閉鎖機能は,低年齢児では下口唇の力が中心となって機能し,発達とともに口唇全体が協調した運動を行うようになるという見解が得られた。また,口唇閉鎖力と舌圧・頬圧には相関があり,それぞれが共同して口腔機能を形成することが示唆された。