小児歯科学雑誌
Online ISSN : 2186-5078
Print ISSN : 0583-1199
ISSN-L : 0583-1199
原著
クラウンループの先端形状と離脱との関係
有限要素法シミュレーションによる考察
横井 由紀子山木 貴子江花 照夫河村 純岡藤 範正大須賀 直人
著者情報
ジャーナル フリー

2017 年 55 巻 4 号 p. 451-457

詳細
抄録

下顎第一乳臼歯が早期に喪失した場合,保隙のためにクラウンループが適用されることが多い。ループの先端の形状により,ループが歯肉にくい込むこと,歯から離脱することが報告されている。本研究の目的は,有限要素法を用いたシミュレーションから,異なるループ先端形状(3 つの形状,W 形状,I 形状,U 形状)のクラウンループが歯およびクラウンループの動きに及ぼす影響をシミュレートすることであった。 計算方法は以下の通りである:近心方向の力を第二乳臼歯に適用した場合および,近心方向と同時に舌側方向に力を加えた場合,歯とクラウンループの移動について有限要素法を用いてシミュレーションした。 その結果,以下の結論を得た。

1 .クラウンループに近心方向の力が負荷されると,第二乳臼歯は近心傾斜する。その結果,クラウンループ先端は歯頸に向かって沈下した。その沈下量は,W 形,I 形,U 形の順に増加した。

2 .クラウンループに近心方向と同時に舌側方向に力を負荷すると,U 形では,ループ先端が沈下するとともに,舌側方向へ移動した。その結果,ループ先端は乳犬歯から離脱した。

3 .W 形ループの場合,ループ先端の舌側移動は極めて小さく,乳犬歯からの離脱を防止できることが判明した。

著者関連情報
© 2017 日本小児歯科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top