2017 年 55 巻 4 号 p. 442-450
2015 年度に某小児医療センター歯科診療室を受診した患者を対象に歯科治療の実態調査を行い,初診時年齢,調査時年齢,障害の種類,受診状況,受診時の歯科診療内容等について調査を行い以下の結果を得た。
1 .2015 年度に来院した患者数(実人数)は449 名,うち男性271 人,女性178 人であった。
2 .初診時年齢0~24 歳のうち,1 歳が30.0%と最も多く,0~5 歳で全体の78.2%を占めていた。調査時年齢は,0~59 歳の範囲に分布し,平均年齢が16.4±8.3 歳であった。
3 .継続受診期間は,5 年以内が23.8%と最も多く,次いで10~15 年20.9%,5~10 年19.8%であった。
4 .患者の障害およびその原因疾患は,脳性麻痺が28.1%と最も多く,次いで広汎性発達障害が20.9%,精神発達遅滞が10.9%,ダウン症候群9.8%,その他神経系疾患9.6%,てんかん8.0%等であった。
5 .調査した全患者の初診時から最新受診時までにおける総受診回数は17,033 回,調査対象とした処置の総回数は20,934 回,うち予防填塞が33.7%と最も多く,次いで歯石除去が29.8%,修復処置が23.7%であった。
6 .障害によって処置内容の割合に有意差を認めたが,いずれの障害においても予防填塞,歯石除去,歯冠修復が上位3 位を占めていた。
7 .処置内容によって,処置を受けた年齢に有意差を認めた。