2019 年 57 巻 1 号 p. 54-65
本研究はスプリットマウス法にてS-PRG フィラー含有のビューティシーラントと従来型のレジン系フッ素徐放性シーラントであるティースメイトF1 の保持率および齲蝕抑制効果を比較することを目的に行った。平均38.4 か月の長期間にわたる観察の結果,以下の知見が得られた。
1 .すべての観察期間(6 か月,1 年,2 年,3 年)においてシーラント完全保持率は,ビューティシーラントに比較しティースメイトF1 が有意に高い値を示した。更に,歯種別では,各シーラントともにすべての観察期間で,第一大臼歯に比較し小臼歯群(第一小臼歯および第二小臼歯)で高い値を示した。
2 .齲蝕感受性の違いによるシーラント完全保持率は,ローリスク群において,全ての観察期間(6 か月, 1 年,2 年,3 年)でビューティシーラントに比較しティースメイトF1 が有意に高い値を示した。一方,ハイリスク群では,全ての観察期間において,ビューティシーラントとティースメイトF1 の間に有意差は認めなかった。
3 .小窩裂溝の状態によるシーラント完全保持率は,CO 群およびC1 群においてビューティシーラントとティースメイトF1 の間に有意差は認めなかった。また,填塞時と3 年後の齲蝕罹患状態の観察では,ビューティシーラントがティースメイトF1 に比べ齲蝕抑制効果が高い可能性が示唆された。