小児歯科学雑誌
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原著
軟質樹脂を主構成素材に用いた「新子供用歯ブラシ」の清掃能に関する臨床研究
青山 友紀船山 ひろみ荻原 佑介湯沢 真弓岡部 早苗熊谷 千明山口 桃枝金丸 直史蜂須賀 良祐小林 利彰朝田 芳信
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2019 年 57 巻 3 号 p. 396-403

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抄録

本研究では適度な硬度を有する軟質樹脂をネック部の主構成素材に用い上下方向よりも左右方向に変形しやすい「新子供用歯ブラシ」の清掃能を評価するため,通常の硬質樹脂から構成される歯ブラシを対照に,歯垢除去率および歯ブラシの特性を比較検討したところ,以下の結論を得た。

1 .全歯面を対象とした歯垢除去率は,被験歯ブラシが27.7±12.8%,対照歯ブラシが28.7±13.5%であり,すべての解析(分散分析,t­test, Mann­Whitney's U test)において被験歯ブラシと対照歯ブラシの間で歯垢除去率に有意差は認められなかった。

2 .被験歯ブラシの特性を評価するため曲げ試験を実施し,たわみ量を測定したところ,対照歯ブラシに比べ上下方向および左右方向で有意差をもって,たわみ量が大きいことがわかった。さらに,上下方向に比べて左右方向へのたわみ量が有意差をもって大きいこともわかった。負荷荷重の増加に伴い,たわみ量も大きくなっていた。

以上より,軟質樹脂からなる「新子供用歯ブラシ」は口腔外傷の低減が期待でき,清掃能も兼ね備えた大変有用な口腔清掃用具であることが示唆された。

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© 2019 日本小児歯科学会
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