小児歯科学雑誌
Online ISSN : 2186-5078
Print ISSN : 0583-1199
ISSN-L : 0583-1199
原著
幼若永久歯に対する暫間修復としての永久歯既製金属冠についての後方視的研究
釜崎 陽子今村 圭吾田上 直美西俣 はるか近藤 好夫佐藤 恭子西口 美由季日高 聖福本 志保藤原 卓
著者情報
ジャーナル フリー

2019 年 57 巻 3 号 p. 404-409

詳細
抄録

背景:永久歯既製金属冠は,小児歯科領域において全部被覆修復を必要とする幼若永久歯の暫間修復として臨床応用されてきた。

目的:永久歯既製金属冠の耐久性や機能を後方視的に調査し,幼若永久歯の暫間的な修復としての有効性について評価することである。

方法:2018 年1 月4 日から5 月31 日までの約4 か月の間に長崎大学病院小児歯科を受診した患者の中で,当科で行われた永久歯既製金属冠修復を歯列内に有する患者で,装着時の診療録が十分に残っている者を対象とし,修復後の経過について後ろ向きに調査を行った。

結果:調査期間中に定期受診した患者の歯列内に認められた永久歯既製金属冠修復57 例は,平均で46 か月経過していた。経過期間の最短は6 か月で,最長は148 か月であった。

57 例中36 例は,良好に機能していると判断され,経過観察とされた。21 例(36.8%)は,再修復が必要であると判断されたが,その理由としては,穿孔が6 例(28.6%),脱離が5 例(23.8%),歯髄炎や歯周組織炎へ移行してしまったものが3 例(14.3%),歯肉側マージンの不適合によるものが5 例(23.8%),ガッタパーチャポイントによる根管充填への置換のためが2 例(9.5%)であった。 結論:永久歯既製金属冠は,成長発育途中の歯列内における幼若永久歯に対する暫間修復法として有効である。永久歯列完成後適切な時期に鋳造冠への再修復が必要であると考えられる。

著者関連情報
© 2019 日本小児歯科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top