小児歯科学雑誌
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臨床
埋状過剰歯2歯と歯牙腫の並存により乳中切歯の萌出障害が生じた1例
岡添 忍山川 祐喜子森山 敬太水島 秀元紀田 晃生程 東梅桒原 康生正村 正仁大須賀 直人
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キーワード: 過剰歯, 歯牙腫, 萌出障害
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2019 年 57 巻 3 号 p. 410-420

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抄録

上顎前歯部に埋伏過剰2 歯と歯牙腫が並存した女児の1 例を経験したのでその概要と臨床経過を報告する。

患児は近医にて撮影したエックス線写真にて,上顎前歯部に埋伏過剰歯と歯牙様硬組織の存在を指摘され当科を紹介された。

初診時年齢は4 歳8 か月でHellman の咬合発育段階はⅡA 期を呈し,ターミナルプレーンは両側垂直型であった。また,上顎右側乳中切歯は歯冠の一部が口腔内に露出し,遠心に傾斜した状態で不完全萌出がみられた。

単純エックス写真による診査とコーンビームCT による三次元的な精査を行い,過剰歯と歯牙様硬組織の状況と乳歯および永久歯歯胚との位置関係を評価し,永久歯の形成状況から経過観察することとした。初診より1 年3 か月後の5 歳11 か月時に過剰歯と歯牙様硬組織による上顎中切歯の位置異常を認めたため,全身麻酔下で過剰歯と歯牙様硬組織の摘出を行った。

引き続き永久歯咬合まで咬合管理を含めた口腔内管理を行なっていくが,過剰歯と歯牙腫が混在し,摘出時期の決定に苦慮した1 例であった。

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© 2019 日本小児歯科学会
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