今回,一般歯科医院の10年間における小児初診患者の動向を調査した。小児歯科専門医勤務前後の5年間を前期群・後期群とし比較・検討を行い,以下の結論を得た。
1.小児初診患者数は全期間で1,845人であり,総初診患者数に対する小児初診患者の割合は27.6%で,月平均初診患者数は15.1人であった。
2.初診時年齢は全期間で6歳以下が73.0%であり,後期群では低年齢化が進んだ。
3.当院から約2 kmの範囲にある近隣の町からの来院が7割以上であった。
4.来院動機は通りがかりや看板をみて来院する者が最も多く,次いでホームページをみて来院する者や知人からの紹介が多かった。
5.主訴は,健診希望が42.8%と最も多く,次いで齲蝕関連,予防関連,歯並び関連,受診勧告後,外傷の順に多かった。前期群では齲蝕関連が最も多く,後期群では健診希望と予防関連が増加し齲蝕関連より多かった。
6.初診時齲蝕歯数は全期間で0本が55.1%であり,一人平均齲蝕歯数は後期群で減少していた。しかし,一人平均通院回数は,後期群で増加した。
7.治療の中断のない患者が82.2%,ある患者が17.8%であり,後期群で中断のない患者が増加した。
8.約1/4の患者が治療終了後に定期的に受診していた。後期群では定期的に受診する患者が増加した。
以上のことから,一般歯科医院においても小児歯科は重要であり,小児歯科専門医により低年齢時から充実した診療や定期受診が可能となることが示唆された。