2012年度の歯科診療報酬改定によってがん患者等の周術期における包括的な口腔機能の管理を目的とした周術期口腔機能管理料が新設された。中四国唯一の小児がん拠点病院である本院の小児歯科(以下,当科)における小児の周術期等口腔機能管理について,2012年度から2018年度(7年間)の実態を調査した。
期間内に本院医科領域の診療科より小児歯科に紹介された患者568人のうち,259人(45.6%)について周術期等口腔機能管理を実施した。このうち,1歳から6歳の未就学児が142人(54.8%)と半数以上であった。手術や造血幹細胞移植に伴う管理が124人(47.9%)を占め,残りの135人(52.1%)が放射線治療や化学療法のみに伴う管理であり,2015年度以降後者が特に増加していた。全身疾患の内訳は,急性リンパ性白血病(44例/17.0%)が最も多く,次いで神経芽腫(19例/7.3%)および慢性肉芽腫症(19例/7.3%),急性骨髄性白血病(18例/7.0%)および骨肉腫(18例/7.0%)であった。1件の管理に対する平均診療回数は13.1回であり,最大は80回(管理期間約1年2か月)と,保険算定できる回数や期間を超えて当科を受診したケースも多かった。
放射線治療や化学療法,造血幹細胞移植後に生じる晩期障害に対しては,周術期に限定せず長期的な目線をもった口腔内管理が必要であると考えられる。