小児歯科学雑誌
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原著
幼児期における舌小帯異常の実態調査
近藤 亜子岡野 哲津金 裕子飯沼 光生犬塚 勝昭土岐 志麻石通 宏行岡 暁子倉重 圭史桒原 康生佐野 正之鈴木 淳司田中 晃伸仲野 和彦中村 由紀早崎 治明星野 倫範齊藤 正人木本 茂成牧 憲司
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2021 年 59 巻 3 号 p. 107-116

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抄録

わが国における舌小帯異常の発生頻度は,報告によって大きな開きがある。そこで,発現頻度,年齢間の比較,形態的異常と機能的問題との相関について検討することを目的として,全国的に4~6歳の小児2,886名を対象として実態調査を行い,以下の結果を得た。

1.舌小帯は,長さが1 cm未満および舌尖部の形態がハート型になる小児の割合が約10%であり,2 mm以上肥厚している割合は約3%,中程度(1~2 mm)は約25%であった。また,年齢間で差は認められなかった。

2.舌の前方,側方および垂直運動で問題が認められた小児は,形態的な異常と同程度で,ポッピングや構音の不明瞭者は約30%であった。また,機能的項目については,年齢間で相関が認められ,年齢が増すごとに舌の可動域が大きくなり,指示通りに動かすことができた。

3.舌小帯の形態と機能との間には相関が認められ,長さや舌尖の形態は前方,側方および垂直運動での機能的な問題と関連が強かった。

4.下顎の正中離開や咬合関係は,舌小帯の形態的および機能的な問題との関連性は非常に弱かった。

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© 2021 日本小児歯科学会
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