小児歯科学雑誌
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原著
全国歯科大学・歯学部附属病院小児歯科外来における経口抗菌薬の使用状況調査
豊田 有希飯田 愛理澤田 武蔵髙崎 千尋大島 昇平吉原 俊博八若 保孝
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2021 年 59 巻 3 号 p. 117-124

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抄録

薬剤耐性(antimicrobial resistance:AMR)が国際的な問題となっている。わが国では2016年にAMR対策アクションプランが制定され,医療機関には抗菌薬の使用動向の把握と適正使用の推進が求められている。医科においては,適正使用のための手引き,診療報酬制度,使用動向調査システムの開発が進んでいるが,歯科においては,抗菌薬の不必要な使用の状況や頻度についての検討が十分に行われていないと指摘を受けている。今回,全国の歯科大学・歯学部附属病院小児歯科外来における経口抗菌薬の使用状況を調査した。

対象は2015年4月1日~2018年3月31日に,参加18病院の小児歯科外来を受診し経口抗菌薬を処方された1歳以上16歳未満の患者とした。抗菌薬名,処方当日の処置内容,16歳未満受診者延べ数について集計した。さらに,処方時の詳細な内容(用量用法,病名)について,参加病院に対し任意での調査を依頼した。使用日数からdays of therapy(DOT)を,病名から使用理由を集計した。

本研究の結果から,小児歯科外来において広域の経口抗菌薬である第3世代セフェム系の使用が減少し,それに代わってペニシリン系の使用が増加している傾向が示された。しかし,抗菌薬の総使用量は減少していなかった。抗菌薬の使用理由としては歯性感染症治療が最も多く,次に術後感染予防が続き,その2つが8割強を占めていた。

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© 2021 日本小児歯科学会
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