小児歯科学雑誌
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乳歯列にみられる歯間空隙に関する研究
-空隙量による乳歯列の形態的考察-
難波 みち子
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1981 年 19 巻 2 号 p. 256-275

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抄録
乳歯列にみられる歯間空隙についての数多くの研究報告で,空隙と歯の交換と関連があるのではないかと言われている。そこで乳歯列を空隙の総量により,いわゆる空隙型をI型,中間型をII型,いわゆる閉鎖型をIII型に分類し,その形態的特徴と永久歯の排列との関連性を検討した。
資料は,Hellmanのdental age II A(平均年齢3歳6カ月)でう蝕がなく正常咬合を有する203名より採得した石膏模型を用いた。さらに,この資料のうちHellmanのdental age IIIAの状態を観察できる経年模型,上顎24個,下顎22個について,乳歯列の3型と永久切歯の排列の良否の関連を調査した。その結果次のような結論を得た。
1.各型において上下顎が一致した割合は,63.7%であった。
2.歯間空隙の発現状況は,各型とも霊長空隙部に存在する場合が最も多かった。
3.3型を比較するとI型では歯列弓,歯槽基底ともに最も大きく,歯冠近遠心幅径は小さかった。III型ではその逆であった。
4 . 咬合関係において上顎下顎の型が一致したものでは, 各型とも7 5 . 0 % 以上がv e r t i c a ltypeをとり,乳犬歯間の咬合関係はI級であった。
5.永久切歯の排列はI型のものはほとんどが良好となり,II型のものは1/3が不良,III型のものは2/3が不良となった。
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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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