小児歯科学雑誌
Online ISSN : 2186-5078
Print ISSN : 0583-1199
ISSN-L : 0583-1199
19 巻 , 2 号
選択された号の論文の13件中1~13を表示しています
  • 森高 久恵, 木村 光孝, 古野 忠敬, 三箇 正人, 長谷川 喬, 井手口 藎
    1981 年 19 巻 2 号 p. 247-255
    発行日: 1981/08/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    1.9歳4カ月女児のX線パノラマ撮影により偶然発見された左側上顎側切歯における歯内歯の1例を経験した。
    2 . X 線所見では歯冠部切縁近心側1 / 3 より髄腔内へ線状に走行する透過像を認め, その周囲に歯内歯と思われる漏斗状の不透過像を認める。歯髄腔の大きさは,2と比較するとかなり大きく,透過性も亢進し,根尖閉鎖の状態が遅延し根未完成歯である。
    3.病理組織所見では象牙芽細胞層には空胞変性,萎縮が著明で,歯髄は網様萎縮が強く,退行性変化を呈していた。内外側とも,エナメル質も象牙質も,それぞれ同程度の石灰化像を呈していた。
  • 難波 みち子
    1981 年 19 巻 2 号 p. 256-275
    発行日: 1981/08/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    乳歯列にみられる歯間空隙についての数多くの研究報告で,空隙と歯の交換と関連があるのではないかと言われている。そこで乳歯列を空隙の総量により,いわゆる空隙型をI型,中間型をII型,いわゆる閉鎖型をIII型に分類し,その形態的特徴と永久歯の排列との関連性を検討した。
    資料は,Hellmanのdental age II A(平均年齢3歳6カ月)でう蝕がなく正常咬合を有する203名より採得した石膏模型を用いた。さらに,この資料のうちHellmanのdental age IIIAの状態を観察できる経年模型,上顎24個,下顎22個について,乳歯列の3型と永久切歯の排列の良否の関連を調査した。その結果次のような結論を得た。
    1.各型において上下顎が一致した割合は,63.7%であった。
    2.歯間空隙の発現状況は,各型とも霊長空隙部に存在する場合が最も多かった。
    3.3型を比較するとI型では歯列弓,歯槽基底ともに最も大きく,歯冠近遠心幅径は小さかった。III型ではその逆であった。
    4 . 咬合関係において上顎下顎の型が一致したものでは, 各型とも7 5 . 0 % 以上がv e r t i c a ltypeをとり,乳犬歯間の咬合関係はI級であった。
    5.永久切歯の排列はI型のものはほとんどが良好となり,II型のものは1/3が不良,III型のものは2/3が不良となった。
  • 守口 修, 野坂 久美子
    1981 年 19 巻 2 号 p. 276-286
    発行日: 1981/08/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    萌出位置,歯牙の形態,大きさ,色調,根尖の形成,吸収状態,歯髄腔の大きさ,経年観察などから,真性の乳歯過剰歯と考えられた3例に遭遇し,次のような結論を得た。
    (1)2歳6カ月女児,3歳10カ月女児,1歳9カ月男児において,3症例とも上顎乳中切歯と乳側切歯の間に乳歯過剰歯が発見された。
    (2)3症例とも過剰歯は,乳側切歯に比べ歯冠高径が大きく,舌面窩が深かった。過剰歯とその隣在歯には,捻転,傾斜,転位がみられ,2症例には正中の偏(位3)がみられた。しかし,1症例は過剰歯の抜去により歯列不正の改善がみられた。
    (4)X線診査で,3症例とも後継過剰歯は存在しなかった。
    (5)経年観察により,過剰歯が乳側切歯よりも先に萌出したものと,後に萌出したものが認められた。
    (6)過剰歯の成因については,組織誘導説が妥当と思われた。
  • 船越 禧征, 加護 朱美, 中野 玲子, 有田 憲司, 稗田 豊治
    1981 年 19 巻 2 号 p. 287-291
    発行日: 1981/08/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    血友病A児4名,血友病B児1名,計5名に対し抜歯処置を含めた各種歯科処置を行なった。年齢は全例5歳以上で,重症度は第VIII因子量が2.7%-5%の中等度3名,20%の軽症度1名および第IX因子量2.8%の血友病B児1名である。処置内容は全抜歯数17歯,生活歯髄切断,レジン充填,乳歯冠装着などを含めた一般歯科処置12歯であった。抜歯理由は齲蝕により歯冠崩壊が著しく歯肉炎を生じ,咀嚼時に出血をきたした12歯および交換障害により出血を生じた5歯であった。抜歯にあたっては術前より術後完全止血に至るまで線溶活性抑制と出血量軽減の目的でTransamine50-60mg/kg/dayの全身投与を行なった。局所止血法として抜歯窩にスポンゼルの小片を充填圧入し,圧接ガーゼにて圧迫止血し,局所完全止血確認後,splint床にて創部の保護を行なった。補充療法として第VIII因子レベルを30%以上を目標として術前抗凝固剤(クリオブリン)の投与を開始しVI,I術I後は第VIII因子レベルを20%以上維持するように努めた。血友病児ならびに保護者は出血を恐れるあまり,口腔内清掃は不良であることが多く,そのため齲蝕により残根となり,歯肉内に埋入した歯根が歯肉を刺激して歯肉炎症をきたし,それが原因となって出血症状を助長しやすい。このことから日常の口腔衛生指導に十分注意を払うよう強調すると同時に,齲蝕の早期発見,早期治療に努めることが最も重要である
  • 山田 恵子, 猪狩 和子, 千田 隆一, 真柳 秀昭
    1981 年 19 巻 2 号 p. 292-302
    発行日: 1981/08/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    小児自身に刷掃指導を行った場合,どの程度の効果が期待できるか,またその効果はどの位持続されるかを知るために,比較的健全な乳歯列をもつ4-5歳の保育園児21名を対象として刷掃指導前,刷掃指導後,指導3カ月後,6カ月後の歯垢付着状況について調査した。刷掃指導には水平scrubbing法を用いた。また歯垢付着状態は頬舌面はPHPmodified,咬合面はOcclusal Plaque Indexを用いた。各診査時の歯垢指数の変動について統計学的に検討を加えたところ,次のような結果を得た。
    1)上顎では前歯唇側面と臼歯頬側面において指導直後にPHP-M値の有意な減少を認めたが,3カ月後,6カ月後には後戻りを示した。
    2)下顎では,指導直後臼歯舌面を除いた他の平滑面のPHP-M値は著しい減少を示し,6カ月後まである程度指導効果が持続していた。
    3)咬合面は,上下顎とも指導後に有意な減少を示し,且つこの効果は6カ月後まで持続していた。
    4)平滑面の歯垢付着の分布状態は,指導前後とも同様なパターンを示し,上顎唇頬面,下顎舌面では後方歯に向かうにつれて歯垢付着が多かった。
  • 神山 博光, 原 公一, 下岡 正八, 真田 一男
    1981 年 19 巻 2 号 p. 303-310
    発行日: 1981/08/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    本研究は,齲蝕罹患児の唾液を,齲蝕罹患型別およびカリオスタットによる齲蝕活動性試験の成績別に分類し,SDS-polyacrylamide gel電気泳動で分画し,これら分画像を比較することによって齲蝕罹患性と関係の深い唾液ペプチドが存在するかどうかを検討したものである。
    小児唾液の電気泳動像は,CBB染色においては5-20のバンドに,プロリン染色の場合は5-1 0 のバンドに分画され, 個体により異なることがわかった。分画像を齲蝕罹患型に基づき比較した場合,重症齲蝕型であるIV型の分画像において,検出画分は著しく少なかった。そこでIV型において検出される画分は,小児唾液に最も普通に見出される画分であると考え,検出されなかった画分に注目したが,他の齲蝕罹患型間に特別の差を見出すことは困難であった。齲蝕活動性に基づいた分画像の比較においては,特異的に見出される画分を認めることができた。すなわち,分子量5-10万のポリペプチドは,齲蝕活動性の低い小児唾液に特異的に見出され,分子量1500-4500の低分子量ペプチドは,齲蝕活動性の高い小児唾液に特異的に見出された。また,これらのペプチドはプロリンを多く含むことがわかった。
  • 星野 健三, 霞 健, 後藤 敏義, 植松 宏
    1981 年 19 巻 2 号 p. 311-322
    発行日: 1981/08/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    私達は1976年4月から東京都渋谷区の星野歯科医院に於て,歯科治療に非協力な小児を対象として全身麻酔下小児歯科治療を行ってきた。1981年3月までの5年間に151例に達したので,その経験を基に,私達の行っている全身麻酔下小児歯科治療を紹介した。併せて開業歯科医院における全身麻酔下小児歯科治療に対する理解度とその評価についてアンケート調査を行ったので,その結果も報告した。
    患児は1歳から13歳にわたり,88.1%は歯科治療恐怖症患者で,11.9%は軽度の心身障害児であった。麻酔は全例,経鼻吹送法で維持した。1症例当り平均1時間23分をかけて13.7歯の治療を行った。
    治療の終った患児の保護者136名にアンケート用紙を郵送し120通を回収した。アンケート調査から以下の結果を得た。
    (1)当院を訪れた患者のほとんどは,既に何カ所かの歯科医院を受診したが,治療ができず紹介されて来たものであった。
    (2)保護者の大半は全身麻酔を利用した歯科治療があることを知らなかった。
    (3)この方法を選んだ主な理由は,強制的な治療を避けたい,他の方法ではできない,短期間に治療が終る等であった。
    (4)治療が終って保護者は,全身麻酔を利用した方法で治療してよかった。この方法は他の人にも勧められると評価した。
  • 荻田 修二, 山田 知博, 後藤 邦之, 黒須 一夫
    1981 年 19 巻 2 号 p. 323-331
    発行日: 1981/08/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    上下顎第1・2乳臼歯部抜去歯の各歯平滑面における齲蝕の初発部位を調べるため,6歳から14歳までのD:98歯,E:103歯,D:67歯,E:73歯,合計341歯を用いた。
    計測は(1)齲蝕の中心から解剖学的歯頸線までの距離を歯冠軸に沿って計測した。(2)齲蝕の中心から近心面あるいは頬側面の最大豊隆部までの距離についても計測を行なった。結果:
    1)解剖学的歯頸線からの齲蝕初発部位は各歯種各平滑面において1.75-2.97mmの位置であった。
    2)頬側面あるいは近心面最大豊隆部からの齲蝕初発部位は各歯種各平滑面において3.06-5.97mmの位置であった。
    3)上顎第1・2乳臼歯隣接面における齲蝕初発部位の差は歯冠軸的に0.72mm,頬舌的に0.74mmであった。
    4) 下顎第1・2 乳臼歯隣接面における齲蝕初発部位の差は歯冠軸的に0.62 mm , 頬舌的に0.82mmであった。
  • 武田 康男
    1981 年 19 巻 2 号 p. 332-338
    発行日: 1981/08/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は,障害乳幼児の早期口腔衛生管理の結果について検討するとともに,とくに胎児期発育状況に関して,齲蝕罹患率の経年的変化の特徴を把握し,更に,管理下においた本資料群から乳歯萌出と全身の成長発育との関係を明らかにすることにある。資料は,北九州市立総合療育センター通園児を主体とする障害乳幼児78名(脳性麻痺児49名,ダウン症児29名)につき得られた萌出乳歯歯数,def歯数,齲蝕活性度テスト所見と身長・体重計測値を用いた。
    資料は月齢4カ月から48カ月にわたるSemi-longitudinalなデータで,更に船川の在胎週数別出生時体重基準をもとに,SFD,AFD,LFDの3群に分類した。統計処理の結果以下の所見が得られた。
    (1)全乳幼児の26.9%は,SFD児であり,しかも,ほとんど満期産であった。
    (2)早期口腔衛生管理の結果,齲蝕罹患率は,著明な減少を示し,初発年齢もおそく,とくにダウン症児に著しかった。
    (3)SFD児に関して,脳性麻痺児,ダウン症児とも,1人平均def歯数の経年的変動は,AFD児と異なるパターンを示し,月齢30カ月頃から急激な増加傾向がみられた。
    (4) 乳歯萌出と身体成長発育の遅延の間には, 脳性麻痺児では, 有意な正の相関がみられたが,ダウン症児には,全くみられなかった。
  • 峰岸 秀夫
    1981 年 19 巻 2 号 p. 339-354
    発行日: 1981/08/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    幼児の顎骨をみると,乳歯の舌側にそれぞれ一つずつの小さな孔が認められる。この小孔(歯帯孔)は極めて顕著であり,また古くよりその存在は永久歯の萌出に関連があると示唆されながら,意外にも専門家の注意をひかなかった。とくに歯帯孔と永久歯歯胚骨包を結ぶ骨性の管腔である歯帯管について,詳細かつ系統的に研究した論文はまだ全くみあたらない。そこで本研究は,乳歯咬合期カニクイザルのさらした顎骨をポリエステル樹脂で包埋,頬(唇)・舌断を行い,立体双眼顕微鏡と万能投影機で観察し,次の知見を得た。切歯歯帯管は,80%が円柱形で短く,やや太い。骨包に対する位置は下顎中切歯が90%が舌側位で,他の切歯は骨包頂上と舌側とがほぼ半数ずつであった。これらのことから切歯歯帯管は肩張り形の壺における短い首の部分に相当し,歯胚の位置や方向とともに歯槽部の改造現象が強く感じられる。犬歯歯帯管は,上顎は円柱形と円錐形がほぼ半数ずつで,下顎は約70%が円錐形であり,長さ,太さは最大で,大部分が骨包頂上に位置する。これらのことから犬歯歯帯管は円錐形の長い鶴首状を呈し,歯胚を誘導する歯帯管本来の姿を表している。小臼歯歯帯管は60%が円柱形であるが,円錐形も多く,曲円柱形,曲円錐形もみられる。この時期の小臼歯歯帯管は多様性で,まだ一定の形式を備えるに至らず,歯胚のmigration現象を示唆している。
  • 野中 和明, 中野 育子, 浜野 良彦, 中田 稔
    1981 年 19 巻 2 号 p. 355-361
    発行日: 1981/08/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    遺伝性エナメル質形成不全症は,遺伝的要因によってエナメル質の形成が特異的に阻害され,歯以外の硬組織には形態学的にも生化学的にも異常が認められない疾患である。
    われわれは,本学付属病院小児歯科外来を訪れた13歳と11歳の姉妹およびその母親にみられた遺伝性エナメル質形成不全症例について,患歯にレプリカ法を応用し,走査型電子顕微鏡によるin vivoの状態での観察を行った。そして,これらの所見に本疾患の遺伝的背景についての考察を加えて,次のような興味ある知見を得た。
    1)エナメル質形成不全の状態が,全ての永久歯に及び,しかも波状エナメル質(welliger Schmelz)の状態を呈している。
    2)臨床所見とSEM所見とを考え合わせると,本症例はWitkopや石木らの分類しているところのhypoplastic typeに相当する。
    3)本症例の遺伝形成は,家系図から判断して常染色体性優性遺伝かあるいは伴性優性遺伝のいずれかである。
    4)in vivoの状態で永久歯の表面構造を観察する方法として,レプリカ法はその再現性において有効な研究方法であると思われる。
  • 大山 ひとみ, 今西 秀明, 祖父江 鎮雄, 松村 智弘
    1981 年 19 巻 2 号 p. 362-368
    発行日: 1981/08/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    鎖骨頭蓋異骨症,甲状腺機能減退症,骨形成不全症,くる病等の全身疾患では,多数歯にわたる埋伏と萌出遅延がみられる。
    我々は全身的な疾患がなくて,多数の永久歯が萌出してこない症例に遭遇したので,ここで報告する。患児(10歳の男児)は乳歯の晩期残存と永久歯の萌出遅延を主訴として,本学小児歯科を訪れた。初診時の検診で,〓が萌出していた。パノラマX 線写真では,〓の埋伏が認められたが, 歯胚の数や形の異常は認められなかった。患児の父親( 4 2 歳) は,〓が埋伏していた。
    血液検査,および内分泌系検査の結果では異常は認められなかった。処置としては,1/4顎ずつ埋伏歯をおおっている歯槽骨を除去し,開窓術を行った。術後約2 年で数本の歯は萌出したが,〓は, まだ萌出していない。現在他の処置は施さずに,経過を観察している。
  • 1981 年 19 巻 2 号 p. 369-416
    発行日: 1981/08/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
feedback
Top