小児歯科学雑誌
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心身障害児の口腔機能・発育ならびに口腔衛生管理に関する基礎的研究
向井 美恵井上 美津子鈴木 康生佐々 竜二金子 芳洋宍倉 潤子金子 兵庫藤永 数江
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1981 年 19 巻 3 号 p. 586-597

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抄録

心身障害児に特有な口腔領域の諸問題を総合的にとらえる目的で,CP児を中心とした3施設243名(1歳~21歳,平均9歳1カ月)について調査を行った。今回は第1報として対象児の口腔機能の評価を行い,摂食状態,粗大運動行動,発達年齢,食物形態との関連性について検討した。1.本研究の口腔機能評価から口腔機能に障害がみられた者は,全対象児の91%(重心児施設収容児の99%)であった。2.口腔機能障害度と摂食状態の評価法から,軽度から重度までのCP児を中心とした心身障害児の障害特徴を知る事ができた。3.粗大運動と口腔機能障害度との関連から,首の座り,座位の安定は,口腔機能が発達していくための基本となる運動能である事が推察された。5.発達年齢と口腔機能障害度との関連から,口腔機能に重度の障害をもつ者の多くは発達年齢18カ月以内の者であった。6.口腔機能障害度が同程度のものでも,施設間において通常摂っている食物形態に違いがみられたことから,摂食姿勢,給食に要する時間をはじめとする口腔機能以外の多くの要因により食物形態が決定される可能性が強いことが示された。

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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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