小児歯科学雑誌
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同胞に発症したPycnodysostosisの歯科的所見
毛利 元治成瀬 敏彦中野 育子清水 賢二中田 稔
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1981 年 19 巻 3 号 p. 578-585

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抄録
Pycnodysostosisに罹患した,10歳の女児と9歳の男児の姉弟に歯科治療を行い,次のような所見を得た。
1)一般所見
患者らの両親はいとこ結婚で,姉は数度,骨折の既往がある。患者らは身長が著しく低い。頭部は短頭型であり,顔は小さくて,眼瞼が腫脹し,鷲鼻で頤が後退している。指は短かくて,バチ状であり,爪は形成不金である。
血液および尿化学検査所見は正常値内にあった。
2)X線所見
X線所見では,骨格全体の骨濃化と,泉門と頭蓋縫合の開存などの頭蓋骨の異常,前頭洞の欠如,下顎角の開大および深い下顎切痕などが認められた。手根骨の骨年齢は正常であるが,末節骨は形成不全を示した。
頭部X線規格写真の分析で,顔面頭蓋骨の著しい劣成長が認められ,特に上顎骨の前方部高径と下顎骨全体が著しい劣成長を示した。
3)口腔内所見
口蓋縫合部に溝があり,口腔前庭が浅い。上下顎の歯列弓が著しく小さく,歯は叢生である。その他,乳歯の晩期残存と永久歯の先天性欠如,矮小歯,萌出遅延あるいは異所萌出などの異常が認められた。
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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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