小児歯科学雑誌
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Poland's Syndromeの一症例の歯科的所見
長谷川 香子富沢 美恵子西村 カロリナ長本 孝一野田 忠
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1981 年 19 巻 3 号 p. 607-612

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抄録

片側性の人胸筋胸骨部の欠損と同側の合短指症を特徴とするPoland's Syndromeは,整形外科や小児科領域などで多く症例報告されているが,歯科的に観察,報告された例は,著者らが献索した限りでは,ほとんどない。
著者らは,新潟大学歯学部附属病院の小児歯科外来でPoland's Syndromeの3歳の男児を観察する機会を得,次のような所見を認めたのでここに報告する。
1)頭部規格X線写真分析においてGonial Angleの開大,下顎下縁平面角の増大が認められたものの,ほぼ正常な範囲と思われた。
2)高度の齲蝕罹患性が,乳歯に認められた。
3)癒合歯が,下顎の両側乳切歯部,下顎右側永久切歯部に認められ,また上顎左側永久切歯部に過剰歯が認められた。4)下顎歯列弓において幅径が,平均値に比して,少し小さかったが,歯列弓の形態や大きさ,咬合に異常はみられなかった。
Poland's Syndromeは,1841年に Poland が最初に報告した1)病因不明の先天奇形で.片側性の大胸筋胸骨部の無形成と同側の合短指症を特徴とする。
Poland's Syndrome についての報告例は整形外科,小児科領域などで多くみられるが1-10),歯科的に観察,報告された例は,著者らが献索した限りではほとんどみあたらない。
著者らは,新潟大学歯学部附属病院の小児歯科外来で Poland's Syndrome の3歳の男児を観察する機会を得たのでその歯科的所見について報告する。

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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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