小児歯科学雑誌
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本学に来院した小児の口腔領域の腫瘍性病変に関する臨床病理学的検討
八幡 ちか子畠山 節子武田 泰典
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1982 年 20 巻 3 号 p. 379-385

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抄録

過去11年6ヵ月間に当講座で病理組織検査のなされた小児(15歳以下)の口腔領域の腫瘍性病変69例について臨床病理学的に検討を加え以下の如き結果を得た.(1)腫瘍性病変は全小児例の1/3ちかくを占めていた.(2)腫瘍性病変のほとんどは良性腫瘍であり,悪性腫瘍はわずか5.8%であった.(3)軟組織の腫瘍性病変は舌,歯肉,口唇に好発してみられ,組織型では管腫が最も多かった.(4)顎骨の腫瘍性病変の41例中34例(82.9%)は歯原性のものであり,下顎に上顎の約2倍の頻度で多くみられ,組織型では歯牙腫,エナメル上皮腫,歯原性線維腫が多かった.(5)悪性腫瘍は4例であり,うち3例が非上皮性であった.以上の結果について諸家の報告と対比しながら考察を加えたが,歯原性腫瘍の頻度に大きな差がみられ,地理病理学的要因が考えられた.

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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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