小児歯科学雑誌
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心身障害児の咀嚼機能回復法ならびに口腔疾患の予防と再発抑制に関する基礎的研究
第1報:対象児の一般的状況ならびに口腔機能の障害と全身の発達との関連性
大竹 邦明成田 寛治宮沢 裕夫前田 隆秀山田 博小林 暁芳賀 定北村 陽太郎高梨 登深田 英朗渋井 尚武大出 祥幸河野 寿一杉山 久上杉 滋子関本 恒夫間下 喜一斉木 隆菊地 進
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1983 年 21 巻 4 号 p. 623-641

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抄録

この研究は1982年度に東京都の依託を受けて行なった心身障害児者歯科医療研究の成果の一部である。その研究の一部である咀嚼機能の回復法の基礎的研究として,心身障害児の口腔の健康管理を進めるにあたって,どの程度,口腔機能が障害されているか。そして,その障害の程度と全身の発達とどのような関連があるかを知ることを目的にこの研究を行なった。その結果
1.口腔機能の障害の中でも一番障害されていたのは,言語であった。また,軽かったのは,口唇,顔面の対称性と頭部の変形であった。
2.口腔機能の障害の程度で分類したタイプ間で一定の傾向,つまり,障害の程度が著しく障害されるのは姿勢の保持,指示による顎の静止,指示による舌の挙上,指示による嚥下,流唾であった。
3.口腔機能の障害程度と全身との発達では,口腔機能の障害度の方が全身の発達の遅れよりも軽度であった。
4.口腔機能と全身の発達とは関連が深く,とくに姿勢の保持は対人関係,日常生活,道具の使用,理解,および歩みの発達とは高い相関が認められた。

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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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