抄録
東京都の委託を受け,心身障害児の咀嚼機能回復と歯科疾患の予防法を検索する目的で,在宅障害児の口腔内所見ならびに母親への問診を行い,口腔機能障害の程度とどのような関連性があるか検討した。対象児は第一報と同様で,東京都立北療育園城北分園の通園児30名,外来児18名の計48名で平均年齢は3歳8ヵ月である。
1)患児の口腔内は健常児とほぼ同様の齲蝕罹患状態で,口腔機能の障害の程度と齲蝕の発生とは関連が少ないように思われる。
2)一般に口腔機能の障害の軽重が齲蝕の発生にも大きな要因と考えられているが,低年齢児では,母親など介助者の歯科疾患に対する予防知識の大小,ならびに口腔清掃状況の良否が最大の歯科疾患誘発因子と考えられる。