小児歯科学雑誌
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新潟大学歯学部小児歯科外来における来院患者の実態調査
昭和54年から昭和57年
山口 政彦高橋 幸江上原 智恵子田口 洋野田 忠
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1984 年 22 巻 1 号 p. 373-380

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抄録
地方都市新潟において,大学病院の小児歯科がどのような役割を担っているかを検討するため,新潟大学歯学部小児歯科外来の来院患者の実態について調査を行った.対象は,昭和54年9月から昭和57年8月までの3年間に来院した患者3199人(男児1667人,女児1532人)である.
新患は月平均100人弱で,3月と6月に多かった.年齢別では3歳児が最も多く約20%を占め,次いで障害児を中心とする8歳以上の患者が多かった.患者の約80%が齲蝕治療を主訴として来院していた.来院患者のうち新潟市内の患者は44%であり,往復4時間以上かけて来院してくる患者も約40%いた.全身疾患を持つ患者は378人(11.8%)で,その約半数は脳神経系疾患であった.これら小児の治療は,外来で局所麻酔下で行った.
乳歯齲蝕の罹患型は,広範囲に齲蝕のあるIII型,IV型が多く,1人当りの乳歯齲蝕の処置では歯冠修復がほぼ60%を占めていた.治療内容については,修復処置ではレジン充填が各歯年齢を通じて約35%を占め,乳歯冠はIC期より多くなりIIIA期には60%を占めていた.歯髄処置では,水酸化カルシウム法による断髄が多かった.誘導処置は来院患者の28%に行われ,可撤保隙装置は各年齢に用いられた.積極的な誘導は118例に行われ,床誘導装置,リンガルアーチ,D.B.S.などが使われた.外来小手術は104例で,埋伏過剰歯や小帯の切除,歯牙腫の摘出などが行われた.
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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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