小児歯科学雑誌
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22 巻 , 1 号
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  • 小手 文子, 上保 一之, 佐藤 みつ子, 斎木 隆, 関本 恒夫, 坂井 正彦
    1984 年 22 巻 1 号 p. 1-13
    発行日: 1984/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    乳歯列反対咬合の歯列弓,歯槽基底弓の形態について,フーリエ解析の手法を用いて,その平均形態を求め,その特徴を明らかにするとともに正常咬合の歯列弓,歯槽基底弓後の形態と比較をした.さらに反対咬合において矯正治療を行ったものについて,治療前の形態の変化について検討した.資料は正常咬合の乳歯列石膏模型女児50例,前歯部反対咬合の乳歯列石膏模型女児20例で平均年齢は3歳6ヵ月である.その結果,次の結論を得た.
    1)反対咬合の歯列弓平均形態の特徴として上顎では第2乳臼歯,乳側切歯遠心部,および乳中切歯中央部に曲線の変異点が認められた.また,下顎では第2乳臼歯,乳側切歯,乳中切歯中央部,乳犬歯と第1乳臼歯の間に曲線の変異点が認められた.
    2)歯槽基底弓では,上顎下顎とも第2乳臼歯,乳中切歯の中央部に曲線の変異点が認められ,特に下顎では乳犬歯遠心部にも変異点が認められた.
    3)正常咬合と反対咬合では,上顎歯列弓,上顎歯槽基底弓,下顎歯槽基底弓で明らかに形態の相違が認められた.
    4)矯正治療の前後では,上顎歯列弓,上顎歯槽基底弓において形態は変化し,正常咬合の形態に近くなった.
  • 袖井 文人, 野坂 久美子, 椚田 房男
    1984 年 22 巻 1 号 p. 14-25
    発行日: 1984/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    今回,著者らは骨形成不全症に随伴して,乳歯,永久歯に象牙質形成不全症が認められた8歳7カ月の男児を経験した.象牙質形成不全症は象牙質の形成が原発的に障害される稀な遺伝的疾患で,象牙質の形成が単独に障害されるものと,骨形成不全症に随伴して出現するものとがある.骨形成不全症は造骨細胞の機能低下によっておこる遺伝性疾患で,間葉組織の系統的疾患と考えられており,本症例においても,三大徴候のうち,易骨折性,青色鞏膜が認められたが,難聴は認められなかった.また,頭蓋は超短頭型の特徴的形態を示しており,顎・歯列では上顎の劣成長と_??__??__??_の交叉咬合が認められた.歯は全乳歯,萌出永久歯においてオパール色を呈し,歯髄腔はほとんど消失していた.さらに歯頸部の狭窄が強く,歯根は比較的短かかった.抜去乳歯の病理組織学的検索から以下の所見を得た.エナメル質,mantle dentineは正常構造を示していた.しかし,mantle dentineと髄周象牙質の問にコラーゲン線維が象牙質表層に配列し,この部位からエナメル質の部分的剥離がなされていた.また,髄周象牙質には明らかな層板構造が認められ,象牙細管などは不正な配列をなしていた.さらに象牙質中央部は,多数の封入体が存在し,その中央部は軟組織様構造物が認められた.
    臨床的,X線的,病理組織的所見から,本症例はShieldsらの分類による象牙質形成不全症Type 1と診断した.
  • 木村 光孝, 内上堀 征人, 森高 久恵, 竹中 正史, 渡辺 尚海, 中村 聖, 中村 嘉明
    1984 年 22 巻 1 号 p. 26-35
    発行日: 1984/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    我々が日常臨床にたずさわるに際して,乳歯の歯根吸収のメカニズムの解明は必要不可欠な命題であるが,今だに解決されていない.そこで今回,我々はその一端を担うべく,走査電顕下に乳歯歯根吸収面の形態学的観察を行なった.実験材料は6歳から12歳相当までの歯根吸収期の乳前歯85本で,抜去後直ちに固定し,alcohol,isoamyl acetateを経て,自然乾燥後,Au coatingを行ない観察した.
    吸収部のセメント質には吸収窩が10数個認められ,吸収窩は小さな円形で互いに重なり合って象牙細管開口部が突出し,類円形や樋状など様々な形に散見される.
    吸収が遅延している部分では吸収面は平坦である.窩底は平坦でなく,浅い部と深い部とを認める.窩縁は明瞭に区別されている.
    象牙質吸収面は大小不同の不規則な形態を示す吸収窩がみられる.吸収窩の境界は円弧状で,稜状に突出し,新しい吸収窩から古い吸収窩の方へ向かって突出して認められる.吸収窩が顆粒状物で被われているものもあり,吸収が遅延している部分では象牙細管の狭窄あるいは完全閉塞がみられる.
  • 落合 伸行
    1984 年 22 巻 1 号 p. 36-66
    発行日: 1984/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    (NH4)2MoO2F4 の齲蝕抑制機序の一端を解明するために, 歯質無機質相に及ぼす影響を合成CO3-Apatite およびエナメル質を用いて検討した.
    その結果, (NH4)2MoO2F4はCO3-Apatite と反応して, Fluoridated apatiteおよびCaF2を, フッ素のみを含有する薬剤よりすみやかに生成し, モリブデンはアパタイト結晶格子内に置換する可能性が示唆された.同時に, CO3-Apatite 中の炭酸含有量を減少させ,耐酸性を向上させた.
    高濃度の(NH4)2MoO2F4 はCO3-Apatite と反応して著明にCaF2を生成し,生成されたCaF22 および取り込まれたモリブデンは人工組織液中では徐々に溶出し, Fluoridated apatlte を生成し, モリブデンはアパタイト結晶格子内に置換する可能性が示唆された.
    高濃度の(NH4)2MoO2F4 処理により, 健全エナメル質の耐酸性は向上し, フッ素およびモリブデンは健全エナメル質中に浸透し, 表層部にはCaF2 の生成およびモリブデンの存在が判明した.
    以上のことから, (NH4)2MoO2F4 は歯質無機質相とりわけ健全エナメル質に対して抗齲蝕性を付与する有望な薬剤であることが示唆された.
  • 松本 晉一, 森主 宜延, 大野 英夫
    1984 年 22 巻 1 号 p. 67-75
    発行日: 1984/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    デュシェンヌ型進行性筋ジストロフィー症は症状の進行が早く,顎顔面・口腔領域にも各種の疾患型及び機能形態異常が出現する.従って本症の歯科健康管理にあたっては特別の配慮が必要である.この研究では患者の口腔診査及びアンケート,さらに病棟スタッフによる観察記録からその問題点を抽出し,疫学的検討を加えてその医療対応を考察し,歯科健康管理体制づくりの足がかりとした.
    対象はD型筋ジストロフィー症患者43名で,歴齢及び歯牙年齢を考慮して,A群(7~12歳:12名),B群(13~15歳:12名),C群(16~26歳:19名)に群別して検討し,次の結果を得た.
    疫学的問題点
    A群…乳歯齲蝕の放羅,ブラッシングの低下
    B群…歯肉炎の増加,不正咬合の増悪(複合型),前歯外傷の出現.
    C群…永久歯齲蝕の発現増加,歯肉炎及び歯石沈着の増加,不正咬合の悪化(混合型)
    当面の医療対応
    A群…乳歯齲蝕の早期治療,ブラッシングの定着化.
    B群…定期診査の確立,ブラッシングによる歯肉炎の抑制,不正咬合促進因子の除去,前歯部外傷の防止.
    C群…定期診査の強化,ブラッシングの積極的励行と改良,不正咬合要因の抑制,前歯部の補綴処置.
  • 福地 節子
    1984 年 22 巻 1 号 p. 76-86
    発行日: 1984/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    本研究は小児の歯科治療時の適応,不適応の予測に有効性の高い項目を高木坂本幼児・児童性格診断検査の項目より選択することを目的とし,本学小児歯科外来を訪れた歯科治療未経験の4歳から8歳までの小児186名を対象に実施した高木坂本幼児・児童性格診断検査の結果を,治療時の外部行動の観察結果別にA,B,C群に分類し,それらを主に多群判別分析によって分析をし以下の結果を得た.
    1.被検者総数の高木坂本幼児・児童性格診断検査結果の11項目の内部相関行列は,「不安傾向」と「社会性」,「退行性」と「自主性」,「学校(幼稚園)への適応」と「社会性」,「攻撃性」と「顕示性」および「自制力」,「家庭への適応」と「自制力」および「攻撃性」の項目相互に相関ありを認めた.
    2.A,B,C各群別の11項目の内部相関行列は相関ありを認める項目相互が異なっていた.
    3.判別分析の結果,A群に対応する項目として「神経質」,「学校(幼稚園)への適応」,B群に対応する項目として「顕示性」,「自制力」,「自主性」,「体質傾向」,C群に対応する項目として「不安傾向」,「退行性」,「社会性」,「家庭への適応」が抽出された.
    4.選択した5項目による多群判別分析結果と11項目による分析結果との間には大きな差は認められなかった.なお,このとき選択された項目は「家庭への適応」,「攻撃性」,「不安傾向」,「神経質」および「自主性」の5項目である.
  • 大林 克行
    1984 年 22 巻 1 号 p. 87-95
    発行日: 1984/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    マウスの齲蝕実験動物としての可能性を追求するため,Balb/cマウスを用いてS.mutans c,d,g型菌に対する齲蝕感受性について検討を行った.抗生剤で口腔常在菌叢を抑制した生後25日齢のBalb/cマウスに血清型の異なるS.mutansを接種し,119日齢に屠殺後,それらの齲蝕の状態について観察した.齲蝕の評価はKeyes(1958)の齲蝕評価を改変して用いた.Balb/cマウスのS.mutans c,d,g型菌に対する齲蝕感受性は,c型菌がもっとも高く,齲蝕スコアにおいて個体間の変動は少なく,再現性のある齲蝕活性が得られた.マウスの下顎第1臼歯近心舌側面には明瞭な凹窩が認められ,この部位が裂溝のみならず齲蝕の好発部位となっていた.このようにマウスはヒトからもっとも多く検出されるS.mutans血清型c型菌に齲蝕感受性が高かったことは齲蝕研究の実験動物として実用に値することが示唆された.
  • 飯沼 光生, 田村 康夫, 堰口 宗重, 上浦 美智子, 吉田 定宏, 船越 正也
    1984 年 22 巻 1 号 p. 96-100
    発行日: 1984/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    小児歯科臨床において,小児が疼痛を主訴として来院する場合,往々にして,自分で患歯を明確に示しえないことを経験する.しかし,健全歯別においても,どの歯を刺激されたかを識別する生理的位置感覚について.小児ではあまり報告されていない.
    そこで今回,乳歯の位置感覚を明らかにするため,その基礎実験として,乳歯に圧刺激を加え,どの歯が刺激されたと応答するか,その正確度を歯種別に検討を行い,次のような結果をえた.
    1)小児の歯の位置感覚の正確度は,近心位ほど高く,遠心に向うに従って低下し,とくに上顎第2乳臼歯は最も低い値を示した.
    2)誤答の場合,近心隣接歯を示すことが多かった.
    3)上下顎を比較すると,側方歯群では,下顎の方が位置感覚が高い傾向がみられた.
    4)同様の実験方法で行われた成人群の結果と比較すると,小児群では各歯種とも正答率が低く,有意(p<0.05)な差が認められた.
  • 北村 陽太郎, 平田 順一, 大久保 一郎, 大村 隆司, 島田 尚範, 芳賀 定, 坂田 憲昭, 成田 寛治, 大竹 邦明, 深田 英朗
    1984 年 22 巻 1 号 p. 101-109
    発行日: 1984/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    小児歯科の臨床は,小児の口腔機能を正常に成熟させることにより小児の心身の健康な発育に寄与することである.
    口腔機能は,乳歯の萌出が完了しない1歳6ヵ月頃までにその基礎を確立すると言われ,その後に発現する齲蝕,歯周疾患,咬合の異常などは,口腔機能の正常性を阻害する要因として働く.そのため,初期に発現する疾患ほど,口腔機能の発達に影響をおよぼすと考えられる.この時期における齲蝕については多数の報告がなされているが,咬合についての報告は少なくない.そこで口腔機能が成熟する2歳から3歳にかけての咬合の異常の推移についての研究を行った.研究対象は,昭和51年4月より昭和53年3月まで東京都板橋区東保健所管内に在住した横断的対象3856名,経年的対象1270名である.それらの小児について,口腔を診査し以下の結論を得た.
    1.不正咬合の発現頻度は,2歳児で49.8%,3歳児42.1%で半数近くに不正咬合が認められた.
    2.2歳児,3歳児の不正咬合は,過蓋咬合,前方交叉咬合,開咬,叢生,前方後方交叉咬合,後方交叉咬合の順で多く認められた.
    3.2歳児,3歳児の不正咬合の発現頻度の推移を見ると,前方交叉咬合,過蓋咬合は減少し,前方後方交叉咬合は増加した.後方交叉咬合,開咬,叢生は変化が認められなかった.
  • 細矢 由美子, 後藤 讓治
    1984 年 22 巻 1 号 p. 110-116
    発行日: 1984/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    健全乳歯象牙質に対する可視光線重合レジンFotofilの浸入状態をSEMで観察した.資料としては,交換期のため,抜去もしくは自然脱落した乳歯を使用した.タービンに装着したダイヤモンドバーで,実験歯に対し乾燥下に5級単純窩洞を形成後,窩洞全体に1分間の酸処理を行った.水洗並びに乾燥は30秒間行った.次いで,Fotofilを窩洞内に充填し,Activator Lightで60秒間1回照射を行った.実験結果は下記の通りである.
    1.Fotofil使用例17例中,象牙細管内にレジンの浸入が認められたのはわずか1例であり,しかも浸入レジンの長さは数μの極めて短いものであった.
    2.Fotofil使用時には,乳歯象牙質に対する機械的接着力は期待できない事がわかった.
  • 印南 洋伸, 山崎 勝之, 野坂 久美子, 袖井 文人, 丸山 文孝, 山田 聖弥, 菅原 達郎, 守口 修, 甘利 英一
    1984 年 22 巻 1 号 p. 117-124
    発行日: 1984/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    昭和44年から昭和57年までに,本学小児歯科外来を訪れた,1歳から18歳までの心身障害児176名(男児105名,女児71名)の,初診時口腔内所見,ならびにその後の本学での処置内容について調査した.これら障害児は,歯科医不在の施設入園児や,自宅療養児であった.これを主たる障害別に,MR単群,てんかん群,CP群,自閉症群,血液疾患群,その他の群に分類して検索した.
    初診時年齢は平均6歳5ヵ月であり,障害別にみても同様であった.また,来院人数にも障害別の間で,差はみられなかった.男女別では,血液疾患群,自閉症群において男児が多く,CP群では女児が多かった.
    齲蝕罹患率は,乳歯において加齢的に増加傾向を示し,5歳で72.3%,13歳以上で100%となっていた.障害別にみると,血液疾患群が,他の各群に比べ有意差をもって低い値を示した.永久歯では,第1,第2大臼歯萌出時に,齲蝕罹患率は増加傾向を示した.
    初診時処置歯率は,6歳以下でとくに低く,乳歯では1%以下であり,就学前の歯科治療経験の少なさを示していた.
    齲蝕の程度別ではC2が乳歯,永久歯ともに最も多く,乳歯ではC4が次いで多かった.
    当科における処置内容では,修復処置として,乳歯,永久歯ともにレジン充填,Inlay修復が多かった.歯内療法は全体の7%に行われていたが,抜髄,根管治療がその70%を占めていた.
    齲蝕以外の口腔内の異常では,軟組織疾患を除いては,他の異常において各疾患群の間で,発生頻度に有意の差は認められなかった.
  • 千田 隆一
    1984 年 22 巻 1 号 p. 125-136
    発行日: 1984/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    pH-ISFET を用いて,歯の欠損のない被験者に,また歯列の変化の著しい小児にも適用が可能な「口腔内歯垢下pH測定装置」を考案・作製し,成人及び小児においてpHの測定を行った.また,pH-ISFET 及び隣接エナメル質片上に形成された2日目,4日目6日目の歯垢を,SEM により観察した.
    鋳造法でメタルボックス(10×7×2mm)を作製し,それに矯正用維持装置ST-lockをろう着して,上顎臼歯頬側に保持できるようにした.その中にpH-ISFET をエナメル質片上において設置し,リード線は装置装着時にはボックス内に収納できるようにした.
    この装置を成人(29歳)と小児(9歳)に装着し,4日後に10%庶糖溶液滴下時のpHの測定を行った.成人では滴下10分後に最低pH4.1を示し,滴下時より初期pHに回復するまでに65分を要した.また,小児では10分後最低pH4.2を示し,回復するまでに32分を要した.
    pH-ISFET上に歯垢の形成が確認された.また,pH-ISFET及び隣接エナメル質片上に形成された歯垢は,初期では球状の菌が支配的であり,aging が進むにつれて糸状の菌が支配的となり,両者に著しい相違は認められなかった.
    本装置が,歯垢のpHをin situ で連続的に測定する上で,また,小児における齲蝕予防を考える上で,有用であることが示された.
  • 天本 幸子, 有吉 ゆみ子, 夏秋 まち子, 宇治 寿子, 松本 啓子, 成瀬 敏彦, 中田 稔
    1984 年 22 巻 1 号 p. 137-144
    発行日: 1984/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    本研究の対象は,福岡県大野城市において,昭和56年11月から昭和57年10月までに3歳児歯科健診を受けた,3歳1ヵ月±2週間の幼児751名である.これらの幼児に対し,身長,体重の測定,口腔診査,およびカリオスタットを用いた齲蝕活動性試験を行った.また,母親に対しては保育環境,歯口清掃習慣,母親の歯科意識の水準などに関するアンケート調査を行なった.
    以上,53個の調査項目に対して,林の数量化理論第I類を用いた統計的分析により,個人齲蝕歯率に関与する要因の分析を行なった.
    その結果,3歳児における個人齲蝕歯率には,「子供のカリオスタットpH値」と齲歯数の増加には直線的な関係があることが判明した.そのほか,「乳児期の栄養法」,子供の保育環境に関わる要因,身体的発育を表わす要因などが個人齲蝕歯率の多少に深く関わっていた.これらの要因について,3歳児歯科健診での歯科衛生指導にあたって,保育者である母親に対する重点的な指導が必要と考えられる.
  • 猪狩 和子, 広瀬 寿秀, 神山 紀久男
    1984 年 22 巻 1 号 p. 145-151
    発行日: 1984/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    FC法は乳歯断髄に広く応用されてきたが,近年,FCの毒性が指摘され,従来のFC法が再検討されるようになった.
    著者らは,ホルマリン・グアヤコール(FG)をFCに代わるものとして乳歯断髄に応用した.本研究では,FG断髄を行なった乳臼歯175歯を長期間臨床的に観察し,FC断髄歯91歯の観察結果と比較検討して,次の結果を得た.
    1.FG法では175歯中133歯(76.0%),FC法では91歯中55歯(60 .4%)が,臨床的にもX線的にも異常を認めず,良好と判定された.FG法がFC法より優れた成績を示したが,数多く報告されている他のFC法の成績と比較すると成功率はやや低かった.
    2.FG法での異常発現は断髄後2年目に多く見られた.2年以上問題なく経過した症例82例では,その85.4%がその後も良好に経過している.
    3.FG法175例中7例(4%)にX線上で内部吸収が認められた.
    4.FG法を応用した乳歯は,FC法に比べて永久歯との交換がやや早いように思われた.
  • 真柳 秀昭, 吉田 康子, 山田 恵子, 猪狩 和子, 千田 隆一, 神山 紀久男
    1984 年 22 巻 1 号 p. 152-166
    発行日: 1984/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    昭和47年より56年までの10年間にわたって,仙台市北地区保育園児の歯科検診を行ない,昭和47年,50年,53年,56年の3カ年ごとの調査資料をもとに,各年度の2~5歳児の乳歯齲蝕罹患状況を比較,その推移を検討し,以下の結果を得た。
    1)齲蝕罹患者率ならびに1人平均def歯数は,すべての年齢群において漸次減少し,昭和56年の齲蝕罹患状況は47年のそれに比べて統計学的有意に低かつた。
    2)罹患者率の年次推移は,2,3歳児では昭和50年までに著しく減少し,4,5歳児では53年まで変化なく,昭和53年以降に減少した。
    3)1人平均def歯数の年次推移は,2,3歳児では昭和50年までの間に平均1乃至2歯減少し,その後,減少傾向は弱まった。4,5歳児では50年以降に著しく減少した。
    4)1人平均f歯数ならびに齲蝕歯処置率は2,3歳児ではあまり変化せず,4,5歳児では僅かに増加した。
    5)歯種別齲蝕罹患状況は,どの歯種においてもdef歯率が減少し,上顎乳切歯部および上下顎乳臼歯部においては,すべての年齢群で昭和56年の値が47年のそれに比べて統計学的有意に低かった。
    6)各歯種の歯面別齲蝕罹患状況は,どの歯種歯面においてもdf歯面率は漸次減少し,上顎乳切歯の隣接而,上下顎乳臼歯の咬合面においては,すべての年齢群で昭和56年の値が昭和47年のそれに比べて統計学的有意に低かった。
  • 田村 康夫, 山口 和史, 市橋 正昭, 飯沼 光生, 上浦 美智子, 堰口 宗重, 朝倉 恒夫, 吉田 定宏
    1984 年 22 巻 1 号 p. 167-174
    発行日: 1984/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    本研究は,小児歯科臨床において広く行われている,既製乳歯冠による咬合の改善が小児咀嚼筋にどの様な影響を及ぼすかについて検討することを目的として行ったものである.
    被検児は乳臼歯部に崩壊の著しい齲歯を有する小児6名(4歳~5歳)を対象として,tooth tapping時(76回/分)の咀嚼筋筋活動を,左右側頭筋前腹および咬筋より表面銀電極にて導出し,また,同時に前額中央部より咬合音も導出記録した.筋電図記録は乳歯冠装着前と乳歯冠装着による咬合の改善後の二度行い,tooth tapping時における静止期の出現頻度および持続時間,潜時について筋電図学的検討を行った.
    その結果,乳歯冠装着後では静止期の出現頻度は著明に増加し,潜時および持続時間の変動係数は低下する傾向がみられ,安定した潜時および持続時間の筋波形の出現が観察されるようになった.
    以上の結果より,適切な乳歯冠による咬合の改善は,小児の咀嚼筋活動にも好影響を及ぼすものと推察された.
  • 盛島 美智子
    1984 年 22 巻 1 号 p. 175-199
    発行日: 1984/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    小児の軟組織顔面の成長について,モアレトポグラフィ法を導入し,3歳から12歳までの男女400名を対象として横断的研究を行った.全体的な成長傾向を把握することを目的として,顔面各部の断面積とモアレ縞パターン(外眼角パターン)について解析し,次の知見を得た.
    1.顔面各部の基準面の成長量は,年齢と正の相関関係を示し,男子の成長量は女子より大きい.年間増加率は,男女共に3~4歳で最大の年間増加率を示し,7~9歳での成長は小さい.成長率は上顔面の鼻根面で小さく,中顔面の鼻尖面,鼻下面,上唇面と眼窩矢状面で中等度で,下顔面の下唇面,頭面と正中矢状面では大きい.従って顔面下部は顔面上部より,正中部は正中を難れた部位より大きな成長傾向を示す.
    2.外眼角パターンは顔面形態の特徴を表し,放物線型となる.その開きは増齢的に小さくなり,顔面形態は「丸い」形から「長い」形となる.外眼角パターンの最大膨隆二部は,増齢的に鼻下面から上方の頬骨部へ移動する.頭部の成長には性差があり,男子では増齢的に幅径は大きくなり,下顎角部が外側に張り出すが,女子では著明でない.
  • 米津 卓郎, 大野 裕子, 大多和 由美, 町田 幸雄
    1984 年 22 巻 1 号 p. 200-206
    発行日: 1984/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    1歳6ヵ月児歯科健康診査に訪れた小児のうち,ひき続き6ヵ月後の2歳児健診をも受診した707名の小児の咬合状態,口腔習癖の有無並びに種類等について調査した結果,以下の結論を得た.
    1.今回調査を行った707名の小児の2歳時における咬合状態は,正常咬合373名(52.8%),不正咬合334名(47.2%)であり,1歳6ヵ月時に比べ不正咬合の発現頻度がやや高くなり,特に開咬の小児の増加が著明であった.
    2.1歳6ヵ月時から2歳時までの間に,正常咬合から不正咬合に移行した小児は88名存在し,そのうち67名は開咬と過蓋咬合に移行していた.また,不正咬合から正常咬合に移行した小児は57名であり,それらの1歳6ヵ月時における咬合状態は,反対咬合16名(28.1%),開咬15名(26.3%),切端咬合11名(19.3%),過蓋咬合10名(17.5%)等であった.一方,不正咬合のまま移行した小児も,全て同一の咬合状態で移行したわけではなかった.
    3.2歳時における口腔習癖の発現頻度は227名(32.1%)であり,1歳6ヵ月時に比べ約10%減少していた.習癖を種類別にみると,吸指癖の占める割合が79.8%と大半を占めていた.吸指癖は1歳6ヵ月から2歳へと継続する傾向を示し,1歳6ヵ月から2歳時の間に習癖を開始した小児の大半は吸指癖であった.
    4.開咬小児のうち78.4%は吸指癖を有していることから,開咬と吸指癖には強い因果関係があるものと思われた.
  • 祖父江 鎮雄, 及川 清, 甘利 英一, 真柳 秀昭, 深田 英朗, 檜垣 旺夫, 長坂 信夫, 西野 瑞穂, 吉田 穣
    1984 年 22 巻 1 号 p. 207-222
    発行日: 1984/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    全国にわたる9地区での1歳6ヵ月歯科健診受診者3307名を対象にアンケート調査,口腔検診,齲蝕活動性試験を実施し,育児環境,成長発育,健康状態,しつけ,習慣,食生活の変遷,歯牙萌出状態,空隙状態,齲蝕罹患状態,齲蝕活動性などにつき,多数の情報を得た.
  • 祖父江 鎮雄, 及川 清, 甘利 英一, 真柳 秀昭, 深田 英朗, 檜垣 旺夫, 長坂 信夫, 西野 瑞穂, 吉田 穣
    1984 年 22 巻 1 号 p. 223-235
    発行日: 1984/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    全国にわたる9地区での1歳6ヵ月歯科健診受診者3307名を対象に,6ヵ月間隔で3歳6ヵ月まで計5回,アンケート調査,口腔検診,齲蝕活動性試験を実施した.なお,経年的に対象者は減少し,3歳6ヵ月時の受診者は1283名であった.その結果,育児環境,健康状態,しつけ,習癖,食生活の変遷,齲蝕罹患状態,齲蝕活動性などにつき,多数の情報を得た.
  • 鍋島 耕二, 天野 秀昭, 三浦 一生, 長坂 信夫
    1984 年 22 巻 1 号 p. 236-247
    発行日: 1984/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    本研究は,1歳6ヵ月児歯科健診の進め方を検索し,全身的,口腔内異常の発見,その後の齲蝕予防法の確立などを目的とし全国9地域において,1歳6ヵ月から6ヵ月毎に3歳6ヵ月まで追跡し,口腔内状態,育児環境などの調査を行った.そのうち,歯牙萌出状態は,咀嚼・咬合等の発育,疾患に関連し,齲蝕予防にも重要である.本報は,この調査で,乳歯の萌出について次の結果を得た.
    乳切歯は,1歳6ヵ月でほとんどが萌出し,乳犬歯は1歳6ヵ月で上顎78.46%,下顎66.65%の萌出であった.第一乳臼歯は1歳6ヵ月で,上顎94.50%,下顎88.69%の萌出であった.上顎第二乳臼歯は,2歳0ヵ月14.38%,2歳6ヵ月67.28%の萌出で,下顎第二乳臼歯は,2歳0ヵ月36.43%,2歳6ヵ月88.93%の萌出であった.左右側の比較では,各年齢で左側が右側に比べ萌出率がやや高く,男女別では男児がやや高い値であった.上下顎では,乳犬歯と第一乳臼歯で上顎が高く,第二乳臼歯では下顎が高かった.地域別では,岩見沢,横須賀が早く,茨木は遅かった.
  • 三浦 一生, 鍋島 耕二, 天野 秀昭, 長坂 信夫
    1984 年 22 巻 1 号 p. 248-261
    発行日: 1984/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    本研究は,1歳6ヵ月児歯科健診の進め方を検索し,全身的,口腔内異常の発見,その後の齲蝕予防法の確立などを目的とし全国9地域において,1歳6ヵ月から6ヵ月毎に3歳6ヵ月まで追跡し,口腔内状態,育児環境などの調査を行った.そのうち,歯牙萌出状態は,咀嚼・咬合等の発育,疾患に関連し,齲蝕予防にも重要である.本報は,この調査で,乳歯の萌出型について次の結果を得た.
    1.乳歯萌出型.
    乳歯萌出型はI型~XII型まで分類でき,1歳6ヵ月,2歳0ヵ月まではVIII型が最も多く,2歳6ヵ月,3歳0ヵ月,3歳6ヵ月では,XII型が多かった.
    2.1歳6ヵ月時萌出型の移行.
    各型とも同様の移行型を示し,1歳6ヵ月に萌出歯数の少ない型のものほど,3歳0ヵ月まで萌出歯数が少ない型である傾向がうかがわれた.
  • 野坂 久美子, 山田 聖弥, 守口 修, 佐々木 勝忠, 丸山 文孝, 松井 由美子, 甘利 英一
    1984 年 22 巻 1 号 p. 262-271
    発行日: 1984/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    全国9地区において,1歳6ヵ月児歯科健診を行い,その項目の1つに上唇小帯を設定し,異常と診断されたものの出現頻度,経年的変化,左右上顎乳中切歯の間の空隙との関係について検索した.対象は1歳6ヵ月から3歳6ヵ月時まで,6ヵ月毎に連続5回受診した902名である.
    1歳6ヵ月時において,上唇小帯は正常と異常に分類され,異常形態はさらに5型に分類することが出来た.異帯小帯は増齢に伴い減少し,その出現率は,1歳6ヵ月時で27.3%であったものが,3歳6ヵ月時では5.9%になった.さらに異常小帯の個人別における経年変化でも,1歳6ヵ月時でのみ,異常と判定され,その後,正常へ戻ったものが全上唇小帯異常者の約半数であった.これらのことは1歳6ヵ月時で上唇小帯異常と判定されても,直ちに形成手術を行ってしまうことは危険であり,経過観察が必要と思われた.
    左右上顎乳中切歯間の空隙について,全対象者902名のものと比較すると,どの年齢時でも上唇小帯異常者の方が明らかに空隙保有者率が高かった.また,上唇小帯異常者では,空隙保有者率は1歳6ヵ月時を除き,どの年齢時でも過半数以上を占めていた.その割合は増齢に伴いより著明で,1歳6ヵ月時で48.4%であったものが,3歳6ヵ月時では73.6%であった.このことは3歳6ヵ月時まで異常として経過して来たものに,空隙保有者が多く,異常小帯は空隙の誘因になっているものと思われる.
  • 山田 聖弥, 野坂 久美子, 守口 修, 佐々木 勝忠, 丸山 文孝, 松井 由美子, 甘利 英一
    1984 年 22 巻 1 号 p. 272-286
    発行日: 1984/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    1歳6ヵ月児歯科健診の診査基準,方法および指導内容の向上を目的として,全国9地区で,同一個人を対象に,1歳6ヵ月から3歳6ヵ月まで6ヵ月毎に視診型の歯科健診を行った.その健診内容の一つに,将来の永久歯列形成などの重要な因子の一つとなる,歯間空隙についての項目を設定し,検索した.なお,計5回の健診を連続受診した902名の幼児を対象とした.
    1)空隙の出現状況では,1歳6ヵ月時,2歳0ヵ月時で,地区による差が多く認められたが,その後,年齢が増すにつれその差は減少した.
    2)切歯部の空隙の出現率は,経年的に増加し,側方歯群部では,逆に減少した.
    3)上下顎の比較では,上顎のほうが空隙の出現率が高かった.空隙は,上下顎とも乳犬歯の近遠心の歯間部の出現率が高く,しかも,霊長空隙に一致した部位が最も高かった.
    4)上下顎左右乳中切歯間の空隙の各個人の経年変化では,上下顎とも,5回の健診を通じて,空隙のないまま経過するものが,全体の約1/2存在した.また,空隙が,ある年齢時から出現するものが,とくに下顎において多く,全体の約1/5存在した.
    5)空隙と齲蝕との関係では,空隙のないものが,あるものに比べ,有意差を持って齲蝕が多く,とくに1歳6ヵ月時で著しかった.
  • 八尋 真由美, 柴田 香, 尾崎 正雄, 森 奈千子, 光本 くみ子, 川口 辰彦, 塚本 末廣, 本川 渉吉, 吉田 穣
    1984 年 22 巻 1 号 p. 287-293
    発行日: 1984/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    昭和55年より昭和57年までに岩見沢,盛岡,仙台,東京,横須賀,茨木,徳島,広島,福岡の9地区における1歳6ヵ月から3歳6ヵ月までの半年毎の追跡症例736名について,萌出型別咬合状態の推移と咬合状態の経年的変化に関して調査した結果,以下の結論を得た.
    1)1歳6ヵ月時点の咬合状態は萌出歯の多少と関連していた.すなわち,萌出歯が少ないほど過蓋咬合が多く,萌出歯が多くなると1/2咬合の増加が認められた.
    2)1歳6ヵ月より3歳6ヵ月までの半年毎の断面調査では,各時期において1/2咬合が最も多く,次いで過蓋咬合であった.
    3)全例数736名について,個人別に1年毎の咬合変化をみると,総パターン数は126種類もあった.最も多かったパターンは1/2咬合が1歳6ヵ月から3歳6カ月まで続いたタイプ(20.8%),ついで過蓋咬合が3歳6ヵ月まで継続したタイプ(10.6%)であった.
    4)過蓋咬合は増齢と共に咬合が浅くなる傾向がみられた.
    5)1歳6ヵ月時に反対咬合を呈した症例について,個人別に経年的変化をみると,深い反対咬合の場合は,深い反対咬合のまま3歳6ヵ月まで継続した者が最も多かったが,浅い反対咬合では2歳6ヵ月時に1/2咬合へ移行したものが最も多かった.
  • 真柳 秀昭, 山田 恵子, 桜井 聡, 千葉 桂子, 神山 紀久男
    1984 年 22 巻 1 号 p. 294-306
    発行日: 1984/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    1歳6ヵ月児歯科健診の保健指導内容の充実を計り,効果的な歯科健診法を確立することを目的として,岩見沢,盛岡,仙台,杉並,横須賀,茨木,徳島,広島,福岡の9地域において1歳6ヵ月児歯科健診を実施し,同一対象児を3歳6ヵ月まで追跡し,6ヵ月ごとに口腔診査および質問紙による生活環境調査を同一の方法に従って行なった.各々の診査時点の質問紙解答ならびに口腔診査の成績によって被検児を群別し,口腔習癖の発現状況と齲蝕罹患および咬合の状態との相互関係について検討し,以下の結果を得た.
    1.「指しゃぶり」保有者群の齲蝕罹患者率は,すべての年齢時で非保有者群のそれよりも統計学的有意に低かった.
    2.「何かくわえて寝る」習癖保有者群の齲蝕罹患者率は,2歳6ヵ月以降つねに非保有者群のそれよりも低かったが,一部に統計学的有意差を認めたに過ぎなかった.
    3.「母乳を飲みながら寝る」習癖保有者群の齲蝕罹患者率は,すべての年齢時で非保有者群のそれよりも高く,1歳6ヵ月~2歳6ヵ月で統計学的有意差を認めた.
    4.反対咬合をもつ小児では,「唇をよくすう」習癖保有者率が2歳0ヵ月,2歳6ヵ月および3歳6ヵ月で正常咬合者のそれよりも統計学的有意に高かった.
    5.開咬および上顎前突をもつ小児では,「指しゃぶり」と「何かくわえて寝る」習癖保有者率が殆どの年齢時で正常咬合者のそれらよりも統計学的有意に高かった.
  • 三好 鈴代, 海野 一則, 西野 瑞穂
    1984 年 22 巻 1 号 p. 307-320
    発行日: 1984/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    1歳6ヵ月児の保育環境の地域特性を知る目的で,1歳6ヵ月児歯科健康診査を受診した小児,茨木210名,徳島340名,横須賀288名の母親に対して行ったアンケート調査結果を集計し,次に1歳6ヵ月時の保育環境と2歳6ヵ月,3歳,3歳6ヵ月時の齲蝕罹患状況との関係を知る目的で,1歳6ヵ月から6ヵ月ごとに3歳6ヵ月まで計5回の検診を全て受診した小児,茨木33名,徳島130名,横須賀193名についてアンケート調査および口腔検診結果を集計した.
    その結果,1歳6ヵ月時の保育環境のうち,第何子であるかは2歳6ヵ月時の齲蝕罹患状況に,家族数,昼の養育者,離乳完了の有無,歯磨きを誰がするか,間食時間の規則性,間食回数の6項目は3歳,3歳6ヵ月時の齲蝕罹患状況に関係があった.そして,これら第何子を除く6項目全てについて,徳島は横須賀,茨木に比較して齲蝕誘発性の選択枝に対する解答率が高く,徳島地区は幼児の齲蝕発生という面からはきわめて危険性の高い保育環境であることが明らかになった.
  • 西村 康, 内村 登, 長谷 則子, 檜垣 旺夫
    1984 年 22 巻 1 号 p. 321-332
    発行日: 1984/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    全国9歯科大学・歯学部小児歯科学講座の共同研究として,それぞれのフィールドで診査方法を統一し,1歳6ヵ月児歯科健診および調査を行った.このうち,仙台,横須賀および徳島の3フィールドを取り上げ,乳幼児の食生活,食習慣と齲蝕虫罹患との関係を検討し,つぎの結果を得た.
    1)人工乳栄養児はいずれのフィールドでも最も低い罹患傾向を示し,また,不規則授乳群に有病者が多く,フィールドによってはdft値が有意に高かった.
    2)離乳期の食餌内容は各フィールドによって異なっていたが,一般に母乳摂取群で高く,牛乳摂取群で低い罹患傾向を示した.
    3)生後12ヵ月時点で哺乳ビン使用を中止した例は極めて少なく,哺乳ビン使用者は齲蝕多発傾向にあることが示唆された.
    4)1歳6ヵ月時点での食事量の多い群は低い罹患傾向にあった.
    5)間食摂取に関しては,時間を決めない群,摂取回数の多い群,決まった場所で摂取しない群などで高い罹患傾向を示したことから,地域性を考慮した上での齲蝕予防指導の指針を確認することができた.
  • 松村 誠士, 三原 丞二, 下野 勉, 祖父江 鎮雄
    1984 年 22 巻 1 号 p. 333-343
    発行日: 1984/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    1歳6ヵ月児歯科健診のあり方を研究する為,全国9地区において1歳6ヵ月児(以下1.5歳児と略)の被験者が3.5歳に至るまで,半年ごと計5回にわたり口腔内検診とカリオスタットによる齲蝕活動性試験を行った-そして被験者の齲蝕罹患状態の変化や,齲蝕活動性の高低による齲蝕発生の予測の可能性について検討した-その結果,
    1)1.5歳時より3.5歳時まで増齢的に齲蝕罹患者率は増加した-9地区間の齲蝕罹患者率の巾は,1.5歳時で約18%でその後3.0歳時で約50%と増加し,3.5歳時では約35%と減少した-
    2)被験者の平均deft数およびdefs数は増齢的に増加したが,カリオスタットによる齲蝕活動性の判定結果の平均値は,1.5歳時より2.5歳時まで増加し,その後3.5歳時まではほぼ一定となった-
    3)カリオスタットの判定結果はdeft数やdefs数と有意な相関性を示した-
    4)カリオスタットによる齲蝕発生の予測性について,徳島地区のように,1.5歳時のカリオスタットの判定結果が1.5歳時より3.5歳時までの増加deft数および増加defs数と相関性を認める地区もあり,その有用性が示唆された-
    5)1.5歳時のカリオスタットによる齲蝕活動性の判定結果が低くても,1年後の判定結果が高く変化した者は,その程度に応じてその後3.5歳時までの齲蝕歯数が多くなることが示唆された-以上より,カリオスタットによる齲蝕活動性試験の結果はその地区の齲蝕罹患状態を十分に反映すると思われた-
  • 三原 丞二, 松村 誠士, 下野 勉, 祖父江 鎮雄
    1984 年 22 巻 1 号 p. 344-364
    発行日: 1984/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    近年,低年齢児の齲蝕増加に対する,歯科的な予防的管理が叫ばれているおり,体系化された管理方法が求められている.今回本研究では,より効率的な乳幼児の齲蝕予防法の指針を方向づける資料とする為,全国の9地区の1.5歳児を対象に3.5歳に至るまでの2年間,齲蝕罹患に関する要因を調べるためのアンケート調査を行い,齲蝕の発生および進行の可能性の高い集団の持つ問題点の選別を行った.アンケート分析にあたり,集団を齲蝕罹患の有無およびカリオスタットの判定結果を使用した齲蝕活動性の高低に基づきふるい分けし,各2群間に解答率の差を認めたアンケート項目を2.0歳,2.5歳,3.0歳および3.5歳の各年齢児について選別し検討した.
    その結果,齲蝕活動性の高低に基づいた集団のふるい分けが,齲蝕罹患の有無でふるい分けした場合に比して,多数の齲蝕罹患に関すると思われる問題点を選別できた.また,その選別されたアンケート項目は,各年齢とも食生活に関するものが中心となり,なかでもおやつの内容,時間の規則性,回数,食べる場所,食べ方に関するものが多く,本研究対象児における食生活と齲蝕との高度な関連性がカリオスタットによる齲蝕活動性試験においても確認された.
  • 笠原 浩, 大村 泰一, 松田 厚子, 中野 潤三郎, 外村 誠, 今西 孝博
    1984 年 22 巻 1 号 p. 365-372
    発行日: 1984/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    乳前歯の修復治療を受けた2-7歳の小児歯科患者105名とその母親とを対象として,前歯の審美的影響についての意識調査を質問紙法で行い,下記の結果を得た.
    1.来院の動機として「痛くはなかったが,ムシ歯ができたのでその治療のため」と答えた者が全体の2/3近くもあり,母親の歯科的健康についての意識の向上がうかがわれた.
    2.約半数の者が,真先に治療してほしい部位として「上の前歯」を挙げた.また,その理由として「みっともないから」が,母親では3位,子ども自身では1位を占め,上顎前歯の審美的修復の要求が極めて強く存在することが明らかとなった.
    3.前歯の状態が子どもの心理や行動に及ぼす影響については,1-2歳児では必ずしも明らかではないが,3歳半以降では,ムシ歯や薬物塗布による黒変が消極的な行動特性と関係し,それがきれいに修復されることにより劇的な行動変化を生じることを認めた母親が少なくなかった.家庭や保育園などのエピソードが数多く報告され,特に子どもの対人関係において大きな影響があることが明らかにされた.
    4.圧倒的多数の母親が,子どもの前歯の状態が心理や行動に影響を及ぼすことが認め,「どんな子どもでもきちんときれいに」治してほしいと望んでいた.「乳歯だから齲蝕の進行抑制のみでよい」との答えはわずか2%にすぎなかった.
  • 山口 政彦, 高橋 幸江, 上原 智恵子, 田口 洋, 野田 忠
    1984 年 22 巻 1 号 p. 373-380
    発行日: 1984/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    地方都市新潟において,大学病院の小児歯科がどのような役割を担っているかを検討するため,新潟大学歯学部小児歯科外来の来院患者の実態について調査を行った.対象は,昭和54年9月から昭和57年8月までの3年間に来院した患者3199人(男児1667人,女児1532人)である.
    新患は月平均100人弱で,3月と6月に多かった.年齢別では3歳児が最も多く約20%を占め,次いで障害児を中心とする8歳以上の患者が多かった.患者の約80%が齲蝕治療を主訴として来院していた.来院患者のうち新潟市内の患者は44%であり,往復4時間以上かけて来院してくる患者も約40%いた.全身疾患を持つ患者は378人(11.8%)で,その約半数は脳神経系疾患であった.これら小児の治療は,外来で局所麻酔下で行った.
    乳歯齲蝕の罹患型は,広範囲に齲蝕のあるIII型,IV型が多く,1人当りの乳歯齲蝕の処置では歯冠修復がほぼ60%を占めていた.治療内容については,修復処置ではレジン充填が各歯年齢を通じて約35%を占め,乳歯冠はIC期より多くなりIIIA期には60%を占めていた.歯髄処置では,水酸化カルシウム法による断髄が多かった.誘導処置は来院患者の28%に行われ,可撤保隙装置は各年齢に用いられた.積極的な誘導は118例に行われ,床誘導装置,リンガルアーチ,D.B.S.などが使われた.外来小手術は104例で,埋伏過剰歯や小帯の切除,歯牙腫の摘出などが行われた.
  • 田村 章子, 山口 政彦, 山崎 博史, 野田 忠, 石木 哲夫
    1984 年 22 巻 1 号 p. 381-386
    発行日: 1984/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    エプーリスは,臨床上しばしば遭遇する疾患であり,様々な誘因により,歯肉,歯槽骨骨膜および歯根膜から生ずる歯肉部の良性限局性腫瘤に対する臨床的名称である.病理組織学的に各種の分類がなされているが,このうち骨形成のみられるエプーリスは比較的少ない.また,エプーリスの好発年齢は一般に青壮年期に多く,老年期,小児期には少ないとされている.
    著者らは,新潟大学歯学部小児歯科外来を受診した生後11ヵ月の女児の,乳歯の萌出のみられない口腔内の上顎右側乳中切歯部歯肉に生じた,発生頻度,発生年齢において稀と思われる骨線維性エプーリスを経験したので報告する.
    病理組織学的には,腫瘍様配列を示さない線維性組織を主体とし,所により肉芽組織の増生がみられ,部分的に骨形成のみられるエプーリスであった.
  • 鬼塚 一徳, 木村 光孝, 篠崎 英一, 永山 武彦, 渡辺 尚海, 石井 貴三男
    1984 年 22 巻 1 号 p. 387-393
    発行日: 1984/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    出生時あるいは新生児期に早期萌出した乳歯を一般に先天性歯と呼んでいる.今回著者らは,生後14日目,女児の下顎乳中切歯部に発現したA〓Aによると思われる先天性歯を経験した.患児の家族歴,既往歴に特記事項はなかった.患歯は動揺が著しく,授乳障害があったため抜去した.
    抜去歯牙の大きさは,正常乳歯の平均値と比較して小さく,またソフテックス像により一部にエナメル質を欠いた像が認められた.病理組織学的検索を行なった結果,歯髄,Hertwigの上皮鞘および象牙質については異常所見は認められず,ほぼ正常像であった.
    エナメル質については,その表面構造を走査型電子顕微鏡で観察した結果,周波条を欠如した部やエナメル小柱が斜断された像が認められ,明らかにエナメル質形成不全であることが確認された.
    以上の結果と文献的考察により,硬組織が未だ形成不全のまま萌出した先天性歯の運命は,順調に歯根形成が行なわれたとしても,予後は悪いと考える.
  • 大野 秀, 森主 宜延, 小椋 正
    1984 年 22 巻 1 号 p. 394-405
    発行日: 1984/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    顎関節症とは,顎関節疼痛・顎関節雑音・異常顎運動などの症状を単独かあるいは合併して有し,全身疾患と関連のない非炎症性の一連の症候群をいう.著者らは,鹿児島大学歯学部附属病院小児歯科外来を訪れ,顎関節症と診断し治療を行った患児のうち,代表的治験例4例を通し,我々の考え方と当講座の一応の臨床の流れを提示した.
    症例1は,症状が自然消失したので,咬頭干渉を除去するため,咬合調整および咬合再構成を行った.症例2は,病因が不明瞭であったため,オクルーザル・スプリント装着後咬合調整および咬合再構成と8 8の抜去を行った.症例3は,急性症状をともなっていたので前歯灘型スプリソトの装着を行い,2/2の早期接触部除去のため,矯正処置後,咬合調整および咬合再構成をおこなった.症例4は,2/2の早期接触部が主因と考えられ,症状も軽微であったため,矯正処置をおこなった.
    今後,我々は,本報告で提示した臨床の流れに従い,思春期の顎関節症の発症機序の解明と診断,治療の確立のため,研究を進めていく所存である.
  • 尾崎 正雄, 塚本 末廣, 吉田 穣
    1984 年 22 巻 1 号 p. 406-411
    発行日: 1984/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    歯科領域において,修復物を脱落または義歯を破折させ誤嚥する例は少なくない.このような誤嚥事故は直接生命にかかわることもあり,口腔領域を扱う我々歯科医にとって重要な問題である.
    今回我々は,小児義歯の破折片を誤嚥し,右気管支異物となって来院した症例を経験したので報告した.
    1)患児は7歳男子で,転倒時,小児義歯を破折し,その破折片を誤嚥した.
    2)母親は誤嚥を疑って患児を某外科医に受診させた.しかし同医院では,異物を発見することはできなかった.
    3)翌日,小児義歯破折を主訴として当科に来院したが,聴診において呼気性雑音を聴取したので気管内への異物を疑い,耳鼻咽喉科を紹介した.
    4)その結果,聴診とHolzknechtのsignにより右気管支異物と診断された.
    5)義歯破折片の摘出は,全身麻酔下で気管支鏡を挿入し,ロバートの鉗子を用いて行われた.
  • 神谷 英隆, 竹中 稔, 山崎 要一, 浜野 良彦, 中田 稔
    1984 年 22 巻 1 号 p. 412-417
    発行日: 1984/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    視診および触診により隣接面齲蝕が検出されなかった乳臼歯を,咬合面に齲蝕がまったく無いかあるいはC1程度の齲蝕が存在する軽症群と,咬合面にC2~C3の齲蝕が存在する重症群に分類し,咬翼法X線診査による隣接面齲蝕の検出率を算定した.次に隣接面齲蝕の検出率に関する左右間および上下顎間の差についての有意性を統計学的に検定するとともに,咬合面齲蝕の差異によって2群間に検出率の差がみられるかどうかについての検定を行った.また,隣接面齲蝕の進行程度についても,これら2群間の有意差を検定した.
    その結果,隣接面齲蝕の検出率に関して,次のような所見が得られた.
    1)上下顎ともに,齲蝕検出率に有意な左右差は認められなかった.
    2)上下顎間で,齲蝕検出率を比較したところ,下顎の第一乳臼歯の遠心隣接面と第二乳臼歯の近心隣接面で高い検出率が得られた.
    3)咬合面齲蝕の重症群と軽症群との間で比較したところ,上下顎ともに第一乳臼歯の遠心隣接面と第二乳臼歯の近心隣接面において,重症群の検出率が有意に高かった.
    4)咬合面齲蝕の重症度と隣接面齲蝕の進行程度との関連性については,とくに有意な関係は認められなかった.
  • 立川 義博, 二木 昌人, 井槌 浩雄, 中田 稔
    1984 年 22 巻 1 号 p. 418-424
    発行日: 1984/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    初診時年齢が2歳以上6歳未満の小児で,以前に歯科経験がなかった166名について,Franklの協力度分類にもとづき,術者が臨床的に評価した協力度の資料を集計し検討を加えたところ,以下のような結果を得ることができた.
    1.初診時に不協力行動を示す小児は増齢的に減少していた.また初診時に協力的であった小児のうち,治療開始後に不協力となる者は,2~4歳に多かった.そしてこの不協力へと変化する時期は第1回治療時に集中していた.また急患群では一般群に比較して,初来院時に不協力行動をとりがちであり,協力度改善までに要する期間も長く,特に2~3歳児にその傾向が強く認められた.
    2.局所麻酔により不協力行動が誘発されたと思われる小児の割合は,増齢的に多くなる傾向があった.またいずれの年齢群においても,局所麻酔により不協力となった症例群は,協力度改善までに長い期間を要する傾向があった.
    以上の結果から,著者らの外来で使用している協力度判定は,客観性に欠けるにもかかわらず,判定結果にもとづく様相は以前の報告によく一致していた.したがって,このような方法を用いて小児患者の協力度の推移状況を把握することは,歯科治療時における小児のcontrolに役立てうると考えられる.
  • 笠原 浩, 太宰 徳夫, 佐藤 秀明, 榊原 雅弘, 松田 厚子, 大村 泰一, 下島 丈典, 外村 誠, 今西 孝博
    1984 年 22 巻 1 号 p. 425-434
    発行日: 1984/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    口腔内に急性化膿性炎症症状を呈していた小児患者48例に持続性セファレキシン(L-CEX)を投与し,その臨床成績を検討するとともに,彼らの母親に対しても「お薬についてのアンケート調査」を実施した.結果を要約すると下記のようであった.
    1.L-CEXの有効率は,採点法では3日連用で70.8%,5日連川で91.7%,主治医の主観的評価では93.7%と優れた効果があることが認められた.
    2.消炎酵素剤の併用により,著効例が増加する傾向が認められた.
    3.副作用については,軽度の下痢4例,鼻出血,嘔吐,腹部不快感各1例で,特に重篤なものはなく,投与を中止するにはいたらなかった.
    4.各種の口腔内化膿性疾患に対して,短期間に高い有効率を示した.安全性も比較的高いことから,この領域での第一選択剤として位置づけてよいと考えられた.
    5.在来の抗生物質では6時間毎に投与するため,夜間睡眠中や昼の通園・通学中の服用もれが生じやすいが,本剤は1日2回,朝夕食後の投与で十分な血中濃度を維持でき,家庭内で親の手から直接に投与できることは,「服ませ忘れ」を防ぐ上でも大きな利点になると考えられた.また,大多数の小児患者がそれほど嫌がらずに,むしろ喜んで服用し,拒否した者は皆無であったことから,本剤は幼児にも服みやすい薬であると考えられた.
  • 多田 桂子, 宮本 早苗, 三好 鈴代, 西野 瑞穂
    1984 年 22 巻 1 号 p. 435-442
    発行日: 1984/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    9歯欠損の男子,2歯欠損の女子,6歯欠損の女子(以上3名は同胞),7歯欠損の男子,7歯欠損の女子の5症例について,その家族3家系の家族調査を行った結果,家系内における歯牙欠如者の発現頻度は,一般の頻度に比較して高率であり,2:1で女子に多く,外胚葉異形成症など全身的特記すべき事項はなかった.歯種別発現頻度は,第2小臼歯,犬歯に多くみられ,以上のことから本3家系における多数歯欠損は,系統発生学的退化現象が家族性に強く現われたものであることが強く示唆された.歯列弓幅径,頭部X線規格写真の分析結果から,歯牙欠如者に顎・顔面の発育障害は認められなかった.
  • 1984 年 22 巻 1 号 p. 443-474
    発行日: 1984/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
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