小児歯科学雑誌
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舌神経鞘腫の1例
西嶋 克巳長畠 駿一郎高木 慎井奥 尚也貞森 平樹永井 教之
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キーワード: 神経鞘腫, 舌腫瘍, Antoni A型
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1984 年 22 巻 4 号 p. 883-888

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抄録
神経鞘腫は,中枢神経が好発部位で末梢神経にも発現する.顎口腔領域では,発現頻度が低く,そのなかでは舌に発生することが多い.舌の発現年齢は他部位に比べ明らかに低年齢で,性差,左右差は著しくない.組織学的特徴は腫瘍細胞核の観兵式様配列である.治療法は,摘出術が最適とされ,予後も良好で,悪性経過,悪性神経鞘腫はまれである.
最近私達は小児の神経鞘腫を経験したので先人の報告に追加する.患者は11歳7ヵ月の女児で左舌背部の無痛性腫瘤のために来院した.腫瘤は境界明瞭,弾性硬で自発痛,圧痛はなかった.局所麻酔にて腫瘤上の粘膜を切開し一塊として容易に摘出し得た.摘出物は21×19×20mmの球形で帯黄白色の被膜に被れていた.術後経過は良好で再発もない.組織学的には,紡錘形の腫瘍細胞が束状あるいは渦巻状に規則正しく配列し,核は特徴的な観兵式様配列を示していた.また電顕的には,細胞の外側は基底膜に被れていて,longspacing collagenもみられた.
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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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