抄録
本研究は,小児歯科外来を訪れる子どもの養育態度における夫婦間での一致・不一致の実態,および夫婦間での一致・不一致のあり方とそれに関連する諸要因との関連について考察することを目的として行った。
調査対象は,2歳-12歳までの小児の保護者186組であり,田研式親子関係診断テスト(両親用)を調査資料とした。
処理方法は,スピアマンの順位相関係数による夫婦での養育態度の一致・不一致の程度,夫婦の養育態度類型の比較,夫婦間の一致・不一致に関係すると考えられる要因の比膨較検討を行い,次のような結果を得た。
1)養育態度の一致・不一致の順位相関では,186組中93組が0.60以上の高い相関を示した。
2)夫婦が良い意味で一致している場合は,支配型の比率が最も高く,悪い意味で一致している場合は拒否型が高くなっていた。また,不一致でも父が良く母が悪い場合は拒否型,母が良く父が悪い場合は服従型の比率が高くなっていた。
3)養育態度の一致・不一致に関連する要因の比較では,次のようであった。(1)結婚後の平均年数は,一致群から不一致群になるにつれて短くなる傾向であった。(2)夫婦の年齢差の平均は,一致群・準一致群で4年,準不一致群・不一致群で3年であった。