小児歯科学雑誌
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23 巻 , 1 号
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  • 黒須 一夫, 土屋 友幸, 吉田 穣, 本川 渉, 江見 佳俊
    1985 年 23 巻 1 号 p. 1-10
    発行日: 1985/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    本研究は,小児歯科外来を訪れる子どもの養育態度における夫婦間での一致・不一致の実態,および夫婦間での一致・不一致のあり方とそれに関連する諸要因との関連について考察することを目的として行った。
    調査対象は,2歳-12歳までの小児の保護者186組であり,田研式親子関係診断テスト(両親用)を調査資料とした。
    処理方法は,スピアマンの順位相関係数による夫婦での養育態度の一致・不一致の程度,夫婦の養育態度類型の比較,夫婦間の一致・不一致に関係すると考えられる要因の比膨較検討を行い,次のような結果を得た。
    1)養育態度の一致・不一致の順位相関では,186組中93組が0.60以上の高い相関を示した。
    2)夫婦が良い意味で一致している場合は,支配型の比率が最も高く,悪い意味で一致している場合は拒否型が高くなっていた。また,不一致でも父が良く母が悪い場合は拒否型,母が良く父が悪い場合は服従型の比率が高くなっていた。
    3)養育態度の一致・不一致に関連する要因の比較では,次のようであった。(1)結婚後の平均年数は,一致群から不一致群になるにつれて短くなる傾向であった。(2)夫婦の年齢差の平均は,一致群・準一致群で4年,準不一致群・不一致群で3年であった。
  • 黒須 一夫, 土屋 友幸, 吉田 穣, 本川 渉, 江見 佳俊
    1985 年 23 巻 1 号 p. 11-25
    発行日: 1985/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    本研究は,小児歯科外来を訪れる子どもの出生順位と性格特性との関連性を検討するために,長子群と次子群での性格検査を比較検討することを目的とした.調査対象は,2歳から12歳までの,二人きょうだい150名,三人きょうだい60名,計210名である.
    調査資料は,これらの小児の母親が記入した小児の性格検査である.処理方法は,二人きょうだいにおける,長子群全体と次子群全体の比較,長子群と次子群を性別に分けた比較,長子群と次子群のきょうだい構成での比較,長子群と次子群の年齢群別の比較の各々について,平均パーセンタイルの比較,パーセンタイル値の平均値の差の検定を行った.また,二人・三人きょうだいでの,長子的性格と次子的性格の比較も行った.
    結果を要約すると次のようであった.
    1)長子群全体と次子群全体の比較では,長子群の方が相対的に不良な傾向を示した.
    2)長子群と次子群を性別に分けた比較では,:男子長子群×男子次子群においては「神経質」「家庭への適応性」,女子長子群×女子次子群においては「自制力」「依存性」「家庭への適応性」「個人的安定性」の各項目で長子群の方が不良な方向を示した.
    3)二人・三人きょうだいでの比較は,「自制力」「家庭への適応性」で二人きょうだいの長子群の方が,三人きょうだいの長子群より不良な方向を示した.
  • 空田 安博, 内上堀 征人, 森高 久恵, 木村 光孝
    1985 年 23 巻 1 号 p. 26-32
    発行日: 1985/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    フラボノール類には,増大した毛細血管の透過性と脆弱さを低下させる作用があり,アスコルビン酸はこの作用に対して協同的に働くと報告されている。このような毛細血管の障害は歯髄,歯根膜組織や歯槽骨などにも見られる。そこで今回,このフラボノール類の作用機構を明らかにする目的で,ヘマトポルフィリン存在下でのヒト赤血球光増感溶血に対するフラボノール化合物の一つであるクエルセチンの保護効果と,その保護効果に対するアスコルビン酸の作用について検討した。
    クエルセチンは,ヘマトポルフィリン存在下での光増感溶血に対して保護効果を示した。この保護効果は,クエルセチンによる一重項酸素分子の失活と脂質過酸化反応に伴うラジカル連鎖反応の停止によるものであった。クエルセチンが光増感溶血を抑制しているとき,それ自身は酸化された。この酸化はアスコルビン酸で抑制されたが,アスコルビン酸は光増感溶血に対して保護効果を示さなかった。このことはアスコルビン酸が,この光増感溶血を保護する過程で生成した酸化型クエルセチンを還元し得ることを示唆している。
  • 藤居 弘通, 水谷 隆弥, 町田 幸雄
    1985 年 23 巻 1 号 p. 33-43
    発行日: 1985/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    臨床的に抜髄法の適応症と診断された33歯66根管および感染根管治療法の適応症と診断された38歯53根管,計71歯119根管の歯根未完成永久歯に対し,それぞれ処置後水酸化カルシウムーヨードホルム製剤である"VITAPEX"を用いて根管充填し,最短30日から最長1312日にわたり臨床X線的に経過観察を行った結果,以下の結論を得た。
    1)根管充填直の後X線写真による根管充填状態は,抜髄法応用例根管総数66根管中,過剰16例,適正11例,不足39例であり,感染根管治療法応用例根管総数53根管中,過剰28例,適正10例,不足15例であった。
    2)臨床的に不快症状の発現した症例は,抜髄法応用例に10例,感染根管治療法応用例に3例認められた。しかし,これらの多くは不快症状の程度が軽度で,1週間以内に消失した。
    3)最終観察時のX線写真において根端閉鎖は高頻度に確認されたが,感染根管治療法応用例に比べて抜髄法応用例は根端閉鎖の発現がやや遅れる傾向がみられた。しかし,540日以降の観察例では全ての症例に発現した。4)臨床X線総合成績は,抜髄法応用例33例中,良好23例,概良9例,不良1例であり,感染根管治療法応用例38例中,良好35例,概良2例,不良1例であった。
  • 木村 光孝, 鬼塚 一徳, 内上堀 征人, 森高 久恵, 加来 弘志, 今浪 加寿栄
    1985 年 23 巻 1 号 p. 44-55
    発行日: 1985/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    著者らは生後3ヵ月の幼犬を用いて,乳臼歯抜歯後の永久歯歯胚上部骨梁の変化を客観的に観察するために,X線写真の肉眼的観察とMicrophotographyによるX線不透過性の数量化を行なったところ,抜歯直後では近遠心根抜歯窩ともに上部から下部に行くに従ってX線不透過性が高くなっていた。
    術後3日目になると近遠心根抜歯窩の濃度曲線は上昇し,歯槽骨の濃度曲線は高濃度域へ下降し,抜歯後初めて変化が認められた。術後7日目では近遠心根抜歯窩ともに濃度曲線は上昇し,とくに中部では高い濃度域にあって骨新生が最も旺盛な時期であることがうかがえた。術後10日目では近心根抜歯窩では上部と中部の濃度曲線は上昇傾向にあり,中部では傾斜が著明であったが,近心根抜歯窩下部と遠心根抜歯窩中部の濃度曲線は安定した。術後21日目では近遠心根抜歯窩ともに上部,中部の濃度曲線は下部と同じ低濃度域に近づき,歯槽骨の濃度曲線は皮質骨の濃度曲線の高さとの差を減少し,歯槽骨の反応性変化を示していた。術後35日目では近遠心根抜歯窩ともに低濃度域でほぼ安定し,歯槽骨の濃度曲線は近心側で上昇しているが,遠心側では正常に戻っていた。
  • 泉谷 明, 墨 典夫, 草村 やよい, 大嶋 隆, 祖父江 鎮雄
    1985 年 23 巻 1 号 p. 56-61
    発行日: 1985/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    マルトース含量の高い麦芽糖水飴を還元して得られたマルチトールを多量に含む甘味料(マルチトール甘味料:マルチトール77%,その他の糖アルコール23%)の翻蝕誘発能をラット実験翻蝕誘発系で調べた。
    24日齢のSDラットにStreptococcus mutans(血清型c)あるいは6715(g)株を感染させ,同時に10%のマルチトール甘味料を含む飼料を投与し,97日あるいは75日飼育した。対照には10%スク口ースを含む飼料を投与した。
    その結果,MT8148R株を感染させた実験においても,6715株の場合にもマルチトール投与群とスク口ース投与群との間にラットの体重増加に有意の差は認められなかった。
    また,マルチトール投与群ラットには翻蝕の発生が認められず,翻蝕スコアもスク口ース投与群のそれよりも有意に低かった。
    このことは,実験に供したマルチトール甘味料が少なくとも極めて低い齲蝕誘発能しか有していないことを示している。
  • 武田 康男, 小塚 祥子
    1985 年 23 巻 1 号 p. 62-68
    発行日: 1985/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    肢体不自由児は,機能的障害や随伴する障害のために,自分で正しく歯みがきができないものが多い。本研究では,これらの肢体不自由児の口腔衛生管理に関して,いかなる要因が児の刷掃効果に影響を及ぼすかを検討することを目的とした。対象は脳性麻痺児13名と,その他の肢体不自由児の合計17名,年齢は6歳5カ月から19歳5カ月までであった。
    電動型,改造型(レジン把手付き),レギュラー型の3つの歯ブラシを用いて,2週間それぞれの歯ブラシを使用させてplaque indexとgingival indexの変化量を求めた。運動機能(握力),上肢の随意性(巧緻性),I.Q.,ABS(適応行動尺度)の結果から,刷掃効果に影響を及ぼす要因を検討した。その結果,
    1)平均plaque index,平均gingival indexは自立刷掃の前後の変化はわずかであった。
    2)歯ブラシのタイプによるplaque index改善率,gingival index改善率の差は,認められなかった。
    3)運動機能因子では握力とplaque indexの間には電動型で関連性が認められた。
    4)I.Q.とplaque indexとの間には関連性は認められず,一方ABSスコアとplaqueindexとの間には,レギェラー型,改造型において関連性が認められた。これらの諸結果は,とくに障害児の口腔衛生管理に関して,モチベーションの要因の重要性を示唆するものと考える。
  • 細矢 由美子, 後藤 讓治
    1985 年 23 巻 1 号 p. 69-77
    発行日: 1985/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    我々は,乳歯の歯冠色を客観的に測色する事を目的に本研究を開始した。
    今回は,日本電色社製Color and Color Difference Meter 1001DP型を用いて,3歳'8ヵ月から6歳6ヵ月までの平均年齢5・0歳の小児18名の乳前歯の測色を口腔内で行い,装置について検討を行った。Optical Headは,OFC-1001DP型を用い,D-C Power Supplyは,9463型を使用した。表色系としては,HumterのLab系を利用した。
    実験の結果,下記の結論を得た。
    1.すべての乳前歯について,極めて白色に近い測色平均侮が得られた。
    2.今回使用した測色計は,Lab系を使用しているので,その数値が測色器から直読でき,大変便利であり,得られた数値が客観的であるという利点を有している。
    3.しかしながら,対象となる歯牙が小さく,表面が平端でないため,Optical Headの先端よりはいりこんだ外光による影響で,測色値に誤差が生じる恐れが考えられる。
    4.また,測色に要する時間が4秒と長く,Optical Headの先端が硬い材質でできているため,計測中にOptical Headを圧を加えずに歯面上に静止しておくのが困難であった。
    5.口腔内で乳歯歯冠色の測色を行う際は,外光の影響を受けず,瞬間測色が可能な装置の使用が望ましい。
  • 堀川 清一, 浜田 幸子, 大野 秀夫, 小椋 正
    1985 年 23 巻 1 号 p. 78-87
    発行日: 1985/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    今回,著者らは顎口腔系の機能の1つである,咀噛に関与する筋の機能的発達を解明し,小児歯科臨床へ応用することを目的として,いわゆる正常咬合を有するHellmanの咬合発育段階IIAからIIICまでの各10名,計50名を被検者として,左右両側の側頭筋前部(以下TAと略す),側頭筋後部(以下TPと略す)ならびに咬筋浅部(以下Mと略す)の4つの規定動作における筋活動を筋電図法を用いて記録し積分法を用いて波形処理を行った。次に被検筋相互間の活動量を知るために,各個人の平均値TA,TPおよびMの総活動電位を100%とし,各筋のTA%,TP%,およびM%を算出し,以下の結論を得た。
    1.ガム自由咀聡,ピーナッツ自由咀噛,マシュマPt自由咀魍,および最大かみしめの4つの規定動作においてTA,TP,Mの3筋とも性差および左右差は認められなかった。
    2.乳歯列期と永久歯列期では,咀密力を発揮するうえで,咀囎筋の使い方には明らかに違いがあり,乳歯列期では側頭筋主働型であるのに対して,永久歯列期では咬筋主働型であった。
    3.これらの変化には,成長発育が大きく関与することが示唆された。
  • 松崎 和江, 外木 徳子, 長谷川 浩三, 矢島 功, 町田 幸雄, 井坂 隆一
    1985 年 23 巻 1 号 p. 88-93
    発行日: 1985/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    歯磨圧は歯垢清掃効果及び歯質,歯周組織の損傷と大きな関連性を有しているものと思われる。そこで本研究は,小児のスクラブ法による最適歯磨圧を歯垢清掃効果率,刷掃時の疹痛及び歯齪よりの出血の有無等を参考として求めた。被験者は,4歳から5歳までの歯牙の欠損および歯列不正を認めない乳歯列期の小児15名である。歯ブラシは中等度の毛の硬さを有するライオン株式会社製DentM-2を使用した。測定部位は上下顎左右側の乳臼歯部頬面の4部位で,欄掃回数は各部位とも20回とした。設定歯磨圧は,100g,200g,300g,400g,500gとし,その他の条件は一定とした。得られた結果は以下の通りである。
    1)100gの歯磨圧での歯垢清掃効果率は30・2%であり,200gでも44.3%であった。これらに対し300gでは76・1%と大きな向上が見られた。しかし,400gでは76.7%,500gでは73.4%とあまり変化がみられなかった。それぞれについて有意差検定を行ったところ1009,2009及び3009の間には1%の危険率で有意差が認められた。しかし,300g,400g,500gの間には有意差は認められなかった。
    2)部位による清掃効果の差は,歯磨圧100gおよび200gにおいてはみられたが,300g,400g,500gにおいては殆どみられなかった。
    3)刷掃時の疹痛は300g以下では全く認められなかったが400gで8名,500gで11名の小児に認められた。また,辺縁部歯齪からの出血が400gで3名,500gで5名の小児に認められた。以上の結果より小児のスクラブ法による刷掃において,中等度の硬さの歯ブラシを用いた場合,最適歯磨圧は300gと考えられる。
  • 大野 秀夫, 森主 宜延, 堀川 清一, 住 和代, 畠田 慶子, 旭爪 伸二, 小椋 正
    1985 年 23 巻 1 号 p. 94-102
    発行日: 1985/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    顎関節症は,顎関節部疹痛,開口障害,顎関節雑音,異常顎運動などの症状を単独かあるいは合併して有しており,全身疾患との関連のない非炎症性の一連の症候群を意味する。
    著者らは,思春期における顎関節症に対する歯科医療対応の体系化を試みる一貫として,10歳から18歳までの男性1095名,女性1103名,計2198名を対象とし,顎関節症の発症頻度について,調査を行ない以下の結論を得た。
    1.関節雑音の発症頻度は,全体で188名(8.6%),男女別では男性98名(8.996),女性90名(8.2%)で,性差は認められなかった。
    2.顎関節部疹痛の発症頻度は,全体で37名(1.7%),男女別では男性16名(1.5%),女性21名(1.9%)で,性差は認められなかった。
    3.開口障害の発症頻度は,全体で6名(0.3%),男女別では男性3名(0.3%),女性3名(0.2%)で,性差は認められなかった。
    4.顎関節症の発症頻度は,全体で215名(9.8%),男女別では男性110名(10.1%),女性105名(9.5%)で,性差は認められなかった。
    5.単独・複合症状の発症頻度では,単独症状が大部分を占め,そのうち,関節雑音がほとんどであった。
  • 高須 賀三郎, 中島 一郎, 酒井 貫充, 宮沢 祐夫, 三宅 洋一, 赤坂 守人
    1985 年 23 巻 1 号 p. 103-110
    発行日: 1985/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    唾液潜血測定用試験紙は,若年者の歯周疾患の早期発見として,また成人の歯周疾患の治療経過を判断する検策法として,その有用性が報告されている。この研究の目的は,唾液潜血測定用試験紙による調査が,低年齢である小・中学生の歯肉炎のScreeningに有用であるかを決定する事である。76名の小学生および115名の中学生を対象として,Brushing前後の唾液潜血反応,PMA指数,および色度の結果から以下の様な結論を得た。
    1.Brushing後の唾液潜血反応とPMA指数との間には,小・中学生ともに有意な相関関係が認められたた。
    2.Brushing後の唾液潜血反応(-)と(±)の間にScreening Lineをもうけると,PMA指数15と16を境にScreeningする事が出来た。
    3.小学生から中学生にかけて,前歯部歯肉炎は増加している傾向が認められた。
    4.小学生の臼歯部歯肉には,出血しやすい萌出性歯肉炎・思春期性歯肉炎と思われる状態が推測され,それは中学生にかけて減少している傾向が認められた。
  • 羽切 惠美子
    1985 年 23 巻 1 号 p. 111-135
    発行日: 1985/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    乳歯歯槽窩内壁に開口する犬歯部歯帯孔に着目し,カニクイザルを用い肉限的,組織学的に観察し,以下の知見を得た。
    胎生期初期の歯胚は口腔粘膜上皮と幅の広い歯堤で連なっているが,次第に乳犬歯歯胚の舌側にある犬歯歯胚の周囲に多くの間葉細胞と線維が増殖し,骨包を形成する。乳犬歯萌出開始期の歯帯孔は乳歯歯槽窩内壁に開口するが,乳犬歯萌出完了期の歯帯孔は歯槽骨表面から認められるようになり,歯帯管外側壁は内側壁より低い。やがて歯帯孔は乳歯歯槽窩内壁より歯槽縁に出現し,2つの出現形態に分かれる。歯帯孔が乳歯歯槽窩と歯槽骨を介して開口するものは歯帯管外側壁の歯根膜側に骨芽細胞を認め,内側壁とほぼ同じ高さである。歯帯孔の一部が乳歯歯槽窩に開口するものは開口部に破骨細胞を認め,内側壁より下方にある。犬歯の萌出が近くなると歯帯孔は拡大し,歯帯管は太く短くなり,その内側に犬歯尖頭をみる。歯帯管内の内層は歯帯の残存上皮がある緻密な結合組織からなり,外層は毛細頚皿管が散在する疎な結合組織からなる。歯帯孔が乳歯歯槽窩に開ロする割合は下顎より上顎が多い。
    以上のことから,犬歯部歯帯孔は切歯部歯帯孔から小臼歯部歯帯孔への移行型であり,歯帯孔および歯帯管は歯胚の侵入路でもあるとともに,代生歯の萌出路でもあることが確かめられた。
  • 佐藤 直芳, 五嶋 秀男, 平山 けい
    1985 年 23 巻 1 号 p. 136-139
    発行日: 1985/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    乳酸脱水素酵素(EC.1.1.1.27;L-Lactate;NAD+oxidoreductase;LDH)は一般的に5種類のisoenzymeの存在が知られており,このLDH isoenzymeパタ-ンには臓器固有性が認められている。ブタ歯髄におけるLDH isoenzymeをDEAES ephadex A-50により分画し,そのisoenzymeパターンを調べた。
    ブタ歯髄中には,LDH-1,LDH-2,LDH-3,3種のisoenzymeの存在が認められた。その中でもLDH-1の占める割合が最も多く,溶出されたLDH全活性量の62.6%を占めていた。次いでLDH-2が22.7%であり,LDH-3が最も少なく14.7%であった。
  • 北村 千枝子, 尾崎 きく子, 田中 真由美, 戸田 ちか子, 白神 節子, 南 美紀, 青木 茂, 大嶋 隆
    1985 年 23 巻 1 号 p. 140-152
    発行日: 1985/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    低年齢小児の齲蝕が多発する中で,生後10ヵ月から4歳まで,4ヵ月ごとに継続して齲蝕予防指導を実施した幼児199名について調査を行い,次の結果を得た。
    1.乳歯萌出について現代日本人の平均的状態について知ることができた。
    2.乳歯の翻蝕発生は,年齢別に好発部位が存在し,翻蝕の発生時期と発生部位が相関することが明らかとなった。
    3.各年齢におけるdeft率・defs率・カリオスタットによる翻蝕活動性試験の相関関係を調べると,1歳児における値は,4歳の値と相関関係があり,また,それ以後の鯖蝕発生とも相関関係が認められ,deft率・defs率・カリオスタットが,それ以後の編蝕罹患状態を予測する有効な手段であることが示唆された。また,この時期に集中的に鶴蝕予防の指導・処置を行う必要があることが示唆された。
  • 北村 京一
    1985 年 23 巻 1 号 p. 153-177
    発行日: 1985/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    Streptococcus mutansの幼児への感染はとくに母親を中心とした家庭内感染であり,ヒト口腔内には単一血清型菌が定着するとされてきた.しかし,母子の口腔から分離されるS.mzetansの血清型を,疫学的視点で詳しく調査した結果,優位を占めるS.mu-tans血清型が母子間で一致しない例,さらに複数血清型菌を保有する例が多く認められた.S.mutansのヒトあるいは実験動物の口腔内への定着には,多量で頻回の接種が必須であるとされているが,上述の所見は,他の様々な因子が複雑に関与していることを示唆している.本研究では,その一因子として,S.mutans自身を含めて類縁の菌種に抗菌的に作用するバクテリオシンに着目した.
    複数の血清型S.mutansを保有する被験者から分離されたS.mutans株の中から選んだバクテリオシンを産生するSemutans株がこのバクテリオシンに感受性を示す他のS.mutans株の定着,感染にどのように影響するかを,invitroおよび動物実験により検討した.その結果,一たん定着したS.mutansは,以後の少数のS.mutansの定着をさまたげるが,バクテリオシン活性の高いS.mutansが感染した場合には条件次第で両菌が共存し,複数血清型のS.mutans保有の口腔が成立する可能性が示唆された.さらに口腔細菌叢が不安定と考えられる低年齢児においては,バクテリオシン活性の高いS.mu-tansが少数でも感染すれば,すでに口腔内に存在する&窺厩侃∫が駆逐され,パクテリオシン産生のS.mutansに置換される可能性が示唆された.
  • 笹島 光男
    1985 年 23 巻 1 号 p. 178-186
    発行日: 1985/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    従来より小児の唾液については,その成分や組成はもとより年齢的な変動など,生理,生化学的な定性,定量の面からの研究はほとんどみられない。
    しかしながら,唾液が口腔疾患と深く関わりをもつことが知られていることもあって,成人唾液についてはすでに種々の面からの研究が行われてきた。
    以上のことから著者は,小児唾液についても検討を試みるべく,今回はとくに唾液中に含まれる脂肪酸を検出し,成人唾液中の脂肪酸の組成などとも比較検討を行なった。その結果次の様な結論を得た。
    1.小児それぞれの全唾液よりパルミチン酸,ステアリン酸などの脂肪酸がすべての試料から,そしてミリスチン酸は一部を除き検出された。
    2.成人それぞれの全唾液よりミリスチン酸, パルミチン酸, ステアリン酸などの脂肪酸がすべての試料から,そしてカプリン酸,ラウリン酸は一部の試料を除き検出された。
    3.小児全唾液中の脂肪酸量は個体別で異なりが大きかったが,成人では個体間の差が少なかった。
    4.小児全唾液中の脂肪酸との構成の割合は, ステアリン酸とパルミチン酸の両老で9 5% 占められていたが, 成人ではパルミチン酸とステアリン酸の両者でほぼ7 7 % で,なかでも有臭物質であるカプリン酸が8%であったのに比較し,小児全唾液中にはカプリン酸が検出されなかったことが唾液の臭いと関わりをもちものと推測される。
  • 森主 宜延, 甲斐 正子, 山福 ひろ子
    1985 年 23 巻 1 号 p. 187-197
    発行日: 1985/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    自閉症児は, 他人とのコミュニケーションの障害を特徴としており, 治療時に患者の協力を必要とする歯科医療においては,解決困難な問題を有する情緒障害児である。本研究は,自閉症児の歯科受診態度を推定するためのスクリーニング法の確立を目的とし,自閉症児用行動評定(CLAC-II)と,歯科臨床における外部行動の評価との関係を検討した結果,次の結論を得た。
    1)自閉症と診断された小児は, 全て歯科受診に対して非協力的ではなく, 約4 0 % は協力的であった。
    2)歯科受診に対する協力性は,日常行動評価と歯科臨床における外部行動評価との関係から,CLAC-IIにより初診時に判断できることが示された。特に判断上必要な項目は,対人関係や表現活動,さらに行動の自律であった。
    3)歯科受診時の外部行動とCLAC-IIから, 歯科受診協力性判定質問表を作製した。
    4)自閉症児の保護者に対する歯科受診のための指導に際して,TK 式診断グラフ評価の結果から,保護,服従に対する育児姿勢への教育的配慮の必要性が示された。
  • 鈴木 敏史
    1985 年 23 巻 1 号 p. 198-203
    発行日: 1985/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    従来より医学領域では疾患モデルとしてマウスは,飼育条件が簡易であり,そして信頼性の高い実験成積が得られるなどの理由から広く用いられてきた。しかしながら歯学の分野,とくに齲蝕実験のためにマウスを用いた研究は多くみられなかった。
    しかしながら著者らの教室では,従来よりマウスを用い翻蝕実験を行なってきたが,その結果,動物モデルとしてマウスが高く評価できる動物種であることを知り,今回著者は近交系マウスを用い,それぞれの系統差によるS.mutansの趣蝕感受性について検討を行なった結果,次のごとき結論を得た。
    1.S.mutansJC-2(血清型c)を用いて鯖蝕に罹患させた結果,C3H/Heマウスの齪蝕スコアに比較し,他のC57BL/6,DBA/2およびC57BL/10の各系マウスは非常に高い値を示し,両者間に危険率1%で有意の差をみた。
    2.S.mutans6715(血清型g)を用いて歯離虫に罹患させた結果,C3H/Heマウスの齲蝕スコアに比較し他の系統は高い値を示し,両者間に危険率1%で有意の差をみた。
    3.同じ系統のマウスにS.mutansc型菌およびg型菌を感染させたときの齲蝕スコアは,c型菌が高い値を示し,とくにC57BL/6とDBA/2の2系統では危険率1%で有意の差がみられた。
  • 山崎 博史, 大竹 幸美, 富沢 美恵子, 野田 忠, 鈴木 誠
    1985 年 23 巻 1 号 p. 204-214
    発行日: 1985/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    低リン血症性ビタミンD抵抗性くる病は,血清カルシウム値は正常であるにもかかわらず,血清リン値が低いという特徴を持つ疾患であり,通常のビタミンD治療量では症状の改善がみられないくる病である。著者らは,齲蝕のない乳歯の多くに歯肉膿瘍が生じたことを契機として,本疾患と診断された1例を経験した。
    患児は1歳10ヵ月時に,齲蝕のない上顎両側乳中切歯および下顎左側乳中切歯部に歯肉膿瘍が生じた。1年2ヵ月後には下顎右側乳中切歯にも歯肉膿瘍が生じ,さらに6ヵ月後には上顎右側乳側切歯の菌肉にも膿瘍が形成された。患児のX線写真では顎骨の発育不良が疑われた。また,乳歯および永久歯の歯髄腔が著しく大きく,歯質の石灰化状態も低かった。これらの異常所見が認められたため,全身疾患の存在を疑い,新潟大学小児科に血清生化学的な精査を依頼したところ,患児は低リン血症性ビタミンD抵抗性くる病との確定診断をうけた。
    本疾患では,くる病の臨床症状の現れていない罹患者にも歯肉膿瘍の生ずることが報告されており,本報告の症例のように歯科的症状が初発症状となりうる。患児の頭蓋および顎口腔領域における種々の観察を行い,それらの所見と本疾患の症状との関連性を考察し,さらに歯科対策について検討した。
  • 赤木 真一, 竹内 京子
    1985 年 23 巻 1 号 p. 215-234
    発行日: 1985/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    歯の大きさの異常には,巨大歯と矮小歯があるが,巨大歯は非常に稀で,過去に報告も少ない。今回,著者らは,鶴見大学歯学部附属病院小児歯科を訪れた7歳3ヵ月の男児にみられた巨大歯を経験した。その口腔内所見および治療経過について報告し,文献的考察を加えた。
    初診時の咬合発育段階はIIIAで,非常に大きい1が歯冠1/2程度萌出しており,歯冠近遠心幅径は13.0mmであった。1年11ヵ月経過後,同幅径は13.6mmの値を示し,わが国で経験された巨大歯で,最も大きいものの1例であった。
    また,1も11.0mmであり,他の萌出永久歯の歯冠近遠心幅径も1SDを超えるものが多数認められた。また,母方の家系に歯の大きい者が多くみられ,母親および姉の歯冠近遠心幅径も,1SDを超えるものが多数認められた。本症例は,全身的異常も認められず,これらのことより,遺伝的因子の関与が示唆された。
    初診時の咬合状態は,前歯部反対咬合で,6|6の近心移動が認められた。その後,2|2が舌側に萌出してきたため,これらの咬合異常に対しては,Chincapおよび床矯正装置を装着し,現在も治療を継続している。
  • 木沢 清, 清水 保
    1985 年 23 巻 1 号 p. 225-232
    発行日: 1985/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    著しい歯根の轡曲を伴った極めて稀な下顎第1大臼歯埋伏の1症例を経験したので報告する。患児は9歳10ヵ月の男子で,下顎第1大臼歯の埋伏を主訴として来院した。X線写真所見では,埋伏歯の歯根は近心根,遠心根とも著しく遠心に轡曲していた。また,埋伏歯の歯冠周囲の空隙の拡大が見られ,嚢胞形成が疑われた。開窓術を施した結果,正常な位置に萌出させることができ,咬合機能を僧ませることができた。
    得られた資料からだけでは埋伏の原因を明確にすることはできなかったが,本症例の埋伏の原因としては濾胞性歯嚢胞が考えられた。本症例では開窓術のみの処置で埋伏歯を正常な位置へ萌出させることができたことから,歯根の轡曲は歯の萌出を阻害する因子とはなっていなかったと考えられる。本症例に見られた歯根の轡曲は,歯胚が顎骨の低位に埋伏していたために,歯根の形成が下顎骨下縁の皮質骨により変形させられたものと考えられたが,このような著しい歯根の轡曲を有する埋伏歯も,適切な時期に埋伏の原因を除去することにより,萌出を誘導することができることが明らかになった。
  • 三輪 全三, 田中 光郎, 国沢 重彦, 高木 裕三
    1985 年 23 巻 1 号 p. 233-242
    発行日: 1985/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    I-celldiseaseは先天性糖質代謝異常症の1つでHurler症候群のようなムコ多糖症に臨床症状が類似し,特異な顔貌,発育障害,精神発達遅滞などの症状を呈する。しかし・尿中の酸性ムコ多糖は増量せず,皮膚の培養線維芽細胞中に多数の封入体を認め,ムコ多糖症とは異なるmucolipidosisのII型に分類される疾患である。
    症例は初診時年齢3歳2ヵ月で齲蝕治療を主訴として来院した現在12歳の男児である。患児は著しい身体の発育障害,gargoyl様顔貌珠儒,四肢の関節拘縮軽度の精神発達遅滞を認める。X線所見では全身に多発性骨異形成を認め,手根骨にみる骨年齢は暦年齢よりも2-3年遅れている。口腔内所見として有隙歯列,開咬,巨大舌,歯槽骨の吸収,乳歯根の吸収不全,歯根形態異常,開口障害,永久歯萌出遅延などを認めるが歯胚の欠如はない。抜去乳歯の組織学的観察では,象牙質に低石灰化部分を認め,歯根部象牙細管の走行が乱れ,第2セメント質の形成が著しい。硬さ試験の結果,象牙質のKnooP硬さの値は健全歯のものと比べ有意に小さい。熱重量測定の結果,象牙質の構成成分比は正常であるが,示差熱分析の発熱反応ピークにわずかな異常を認める。
    本症の病因が糖タンパクの代謝異常によるとされていることを考えると,以上の結果は本症例象牙質の有機質を構成する物質に質的な差が存在する可能性を示唆している。
  • 1985 年 23 巻 1 号 p. 243-275
    発行日: 1985/03/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
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