小児歯科学雑誌
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Hemihypertrophy の一症例の歯科的所見
藤原 理彦山下 登鈴木 康生佐々 竜二
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1985 年 23 巻 4 号 p. 1034-1049

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抄録

半側性肥大症の交叉型と診断された初診時, 5 歳0ヵ月の女児に関して4 年2ヵ月にわたり経年的に観察を続け,以下の所見を得た。
1.初診時5歳0カ月より現在9歳2カ月に至るまで継続して顎顔面域では右側,下肢では左側の肥大が認められた。
2.顔貌は左右非対称で右側頬骨突起部より顎下部にかけて著しく肥大しており,眼球,外耳,口唇も偏位していた。
3.歯列弓は両年齢を通じ,変形,非対称性が観察され,舌は患側で肥大,口腔外へ突出させると偏位した。
4.X線所見より,萌出状態は患側は標準よりかなり早い萌出がみられた。また,下顎側方歯の歯胚形成量より歯年齢を推定したところ,患側では暦年齢より促進,健常側では若干の遅延が認められた。プロフィログラムからは下顎骨の下方への過成長が認められた。また,経年的に脳頭蓋部では左右差は認められなかった。また,経年的に軟組織および硬組織の増加量をみると,患側の下顎骨部において最も増加していた。
5.歯の大きさは乳歯では有意差はないが,永久歯では患側小臼歯・大臼歯で巨大化傾向を示すものがあった。健常側では差はなかった。

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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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