小児歯科学雑誌
Online ISSN : 2186-5078
Print ISSN : 0583-1199
ISSN-L : 0583-1199
酸処理歯面の口腔内経時変化
山田 和昭宮沢 裕夫今西 孝博赤羽 章司
著者情報
ジャーナル フリー

1986 年 24 巻 4 号 p. 621-632

詳細
抄録
本実験は,近年歯科臨床分野で欠くことのできない術式として,広く応用されている酸処理を幼若歯と成熟歯に施し,その口腔内経時変化から反応性の違いを検索する目的で行われた。
実験対象は,萌出直後の幼若永久歯と萌出後20年以上経過したいずれも下顎第一大臼歯頬面とし,口腔内で近心半分を酸処理し,直後からの経過をレプリカ法により電顕観察した。同時に表面を肉眼的に観察するとともに,写真撮影も行った。その結果,幼若歯と成熟歯では,酸処理直後の形態の差異,及びその後の口腔内経時変化による歯面の平坦化にかかる期間に差が認められたことから,萌出後に歯面の反応性に変化がある,いわゆるpost-eruptive maturationの存在が示唆された。
また,酸処理歯面の口腔内での平坦化及び光沢の回復には従来報告されている以上に,ブラッシング等による機械的な摩耗の関与が認められた。
著者関連情報
© 一般社団法人 日本小児歯科学会
次の記事
feedback
Top