小児歯科学雑誌
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一卵性双生児に認められたEllis-van Creveld症候群の一症例
小口 春久佐々木 洋小野 博志
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1987 年 25 巻 4 号 p. 851-862

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抄録

Ellis-van Creveld症候群は,軟骨形成不全,外胚葉形成不全,多指症と更には極めて高率に発症する先天性心疾患の4徴候を示す疾患である。
症例は初診時年齢が2歳9カ月の一卵性双生児の姉妹例である。姉は5カ月時において,呼吸困難を訴えて肺炎と診断され,また4歳2カ月時において,先天性心疾患に対する根治手術が施行された。第1子は不完全型心内膜床欠損症,第2子は単心房兼左大静脈遺残を合併していた。
口腔内所見としては,姉にのみ上顎の右側乳中切歯に先天性欠如が認められた。姉妹とも上下顎の口腔前庭溝が浅く,小帯は妹の上唇小帯を除いて全て消失していた。歯肉は厚く肥厚しており,小舌,狭高口蓋および2分口蓋垂が認められた。
頭部X線規格写真より,頭蓋底角度ならびに下顎角の著しい開大が認められ,各複合体では,特に下顎枝の劣成長が明らかであった。

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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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