いわゆる「母親教室」を効果的に機能させるために, 保護者の歯科に関する理解度と,家庭での口腔衛生状況の実態,歯科受診の動機,どこまでの治療および口腔保健管理を希望しているかなどについて調査した。調査対象は,昭和52年10月から昭和61年12月までの10年間に,徳島大学歯学部附属病院小児歯科を受診した小児の保護者831名,および昭和58年3月から昭和61年12月までの3年9カ月間に行われた同科母親教室に参加した保護者531名である。
得られた結果は次のとおりである。
1 ) 過去1 0 年間の間で, 来院動機となった主訴については, 齲蝕が減少し, これにかわって歯列不正が増加傾向を示し,大学病院を選択した理由については,小児歯科専門だから受診したというものが増加していた。また治療内容については,齲蝕歯のみの治療を希望するものが減少し,予防管理まで定期的診査を希望するものが増加していた。
2)齲蝕の認識時期は,10年間ほぼ変化がなかった。
3)小児の歯磨状況について,低年齢児の0歳から2歳群,3歳から5歳群で歯を磨くものが増加した。
4)フッ素塗布経験のあるものが増加し,とくに0歳から2歳群,3歳から5歳群において,有意に増加していた。
5)何らかの齲蝕予防法について,知識のある保護者は有意に増加したが,いまだ知識を持たないと答えたものが約35%存在した。
6)保護者で習慣的に歯を磨くものは76.2%にとどまっていた。
7)小児の口膣衛生に関する講習,勉強を経験している保講者は約30%で,講習の場所は,多いものから順に保健所,大学病院,歯科医院であり,勉強は本,テレビによるものであった。
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