小児歯科学雑誌
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乳幼児の咀嚼育成に関する研究
第2報 乳歯萌出程度と食物摂取状態について
森尾 善子白川 美穂子中村 伸江三浦 一生長坂 信夫
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1988 年 26 巻 3 号 p. 517-526

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抄録

我々は,咀嚼機能の発達経過を知るために,統一された離乳方法が行われている保育園児を対象に,2週間間隔で食物摂取状態の調査を行った.対象児は,満4カ月から23カ月までの健康な乳幼児28名であった.乳中切歯,乳側切歯,第一乳臼歯について各々萌出程度を加味した6型の萌出型を決定し,食べ方は第1報の9項目を細分化して14項目とした.食物摂取状態の推移を萌出型別に検討し,以下の結果を得た.
1)乳中切歯の萌出型別では,上下顎の歯の接触が開始する,すなわち上下顎歯冠1/2まで萌出した状態で,食物摂取状態の著明な変化を認め,「舌をよく突き出す」,「形のある物は食べにくい」が減少し,「主に前歯部でかんでいる」が増加した.
2)乳側切歯の萌出型別では,著明な変化は見られなかった.
3)第一乳臼歯の萌出型別では,上下顎の歯の十分な接触が開始すると考えられる,すなわち上下顎歯冠1/2以上萌出した状態で,著明な変化を認め,「臼歯部でかんでいる」が100%になった.

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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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