本研究は,乳幼児のプラークコントロールや咬合育成管理の方法を検索する目的で,各月齢での萌出状態を把握するため,満1カ月から3歳までの健康な乳幼児30名を対象に,乳歯の萌出状態を,ステージ1:切端および咬頭のみの萌出,ステージ2:歯冠部1/4~1/2の萌出,ステージ3:歯冠部1/2以上の繭出,ステージ4:完全萌出の4つのステージに分け,2週間間隔で追跡調査を行った.萌出開始時期,歯冠1/2萌出時期,各萌出状態における経過期間,歯種間における萌出状態の時期的関係について検討し,以下の結果を得た.
1)萌出開始時期は萌出順にA6.5カ月,A8.5カ月,B10.0カ月,B10.9カ月,D14.6カ月,CD15.4カ月,C16.3カ月,E24.2 カ月,E26.7カ月で,性差は認められなかった.この時期の個人差は,Eが大きい以外,他はすべて2カ月前後であった.
2)歯冠1/2萌出時期は,Aが最も早く8.5カ月,Eが最も遅く29.1カ月で,萌出開始より平均2.1カ月を要した.個人差は,萌出開始時期とほぼ同様な値と傾向を示した.
3)各萌出状態における経過期間は,すべての歯種でステージ1が最も短く,次にステージ2で,ステージ3は最も長かった.
4)各歯種について萌出状態の変化時期を求めることができた.
5)歯種間の萌出状態の関係をみると,切歯部では先に萌出した歯がステージ2またはステージ3に達してから次の歯が萌出しており,乳犬歯と第一乳臼歯は切歯がすべてステージ3に達してから,ほぼ同時に萌出を認めた.第二乳臼歯は他の歯がすべて完全萌出に達してから萌出した.
抄録全体を表示