小児歯科学雑誌
Online ISSN : 2186-5078
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26 巻 , 3 号
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  • 豊嶋 ゆかり, 福島 久典, 井上 純一, 佐々木 好明, 山本 宏治, 片尾 秀信, 尾崎 公子, 森谷 泰之, 斉藤 武公, 稗田 豊治 ...
    1988 年 26 巻 3 号 p. 449-458
    発行日: 1988/09/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    根尖部にX線透過像を有する乳臼歯9本を対象に,根管内容物の細菌学的検索を行い,以下の成績を得た.
    1)根管内容物を培養した結果,病巣が拡大し,永久歯胚の偏位が認められた4症例では全てから細菌が検出された.一方,病巣が歯胚に及んでいなかった5症例では3症例のみから細菌が分離された.
    2)培養陽性であった7症例は,通性嫌気性菌のみが分離された症例もみられたが,全体的に偏性嫌気性菌の分離頻度が高かった.
    3)分離細菌としては, 偏性嫌気性菌ではBacteroides,Fusobacterium,Peptostrepto-coccus,Streptococcus,Eubacteriumが,通性嫌気性菌ではStreptococcusが優勢であった.薗種レベルでみると,非発酵性菌が多く分離されたが,全症例で共通した分離菌種は認められなかった.
    4)永久歯胚の偏位が認められた症例とそれ以外の症例で分離細菌を比較した結果,前者でBactereides,Peptostreptococcus,Eubacteriumなどの偏性嫌気性菌の分離頻度が高かった.これらは,成人の拡大した病巣を有する症例からの分離細菌と一致していた.以上の成績から, 乳歯の根尖病巣の進展には, 永久歯の場合と同様に,Bacteroides,PeptestreptococcusおよびEubactriumなどの偏性嫌気性菌が関与している可能性が示唆される.
  • 大西 暢子, 桜井 聡, 猪狩 和子, 神山 紀久男
    1988 年 26 巻 3 号 p. 459-469
    発行日: 1988/09/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    昭和56年1月から昭和61年12月末までの過去6年間に東北大学歯学部附属病院小児歯科外来を受診した先天性心疾患を有する患児96名(男児57名,女児39名)を対象に,その歯科的な問題を中心に実態調査を行った.なお,唇顎口蓋裂など口腔に高度の奇形を合併する患児は今回の調査からは除外した.
    患児は,心疾患の根治手術直前の場合が多く,入院中に隣接する医学部附属病院胸部外科から紹介され来院することが多かった.当科を受診したのは開心術前の感染源除去を目的とした齲蝕治療を希望したためで,患児の約半数を占めた.病型別では非チアノーゼ群では心室中隔欠損症,チアノーゼ群ではファロー四徴症の占める割合が高かった.また,従来の報告同様,先天性心疾患児の齲蝕罹患率は高く,当小児歯科外来を同時期に来院した全身疾患,異常を認めない一般外来患児のそれと比較した結果,1人平均df歯数は2~8 歳の各年齢で高い値を示した.初診時に施された歯科処置は, 保存修復処置が最も多く,以下抜歯,歯髄処置の順であったが,一般外来児に対してなされた処置と比較すると抜歯の施される割合が高かった.また,定期検診は約半数の患児が受診しており,依然として保存修復処置の施される割合は高かったが,初診時に比べて予防処置の割合が増加していた.
  • 野坂 久美子, 伊藤 雅子, 小野 玲子, 熊谷 恵津子, 甘利 英一
    1988 年 26 巻 3 号 p. 470-490
    発行日: 1988/09/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    下顎第一乳臼歯42歯を用い,髄室から歯冠表而までの距離を測定した.研究方法は,上顎乳臼歯と同様,連続切片にした歯を再構築後,任意の面で切断することで,三次元的に観察した.それぞれの観察部位は,咬合面観,頬舌側而観,近遠心面観ならびに連合隆線中央部と中央窩での切断面である.
    結果:頬舌側面観における髄室角から咬合面までの距離は,近心頬側髄室角と遠心舌側髄室角のI型が2.4mmで最小値であった.しかし,髄室角の切断而では,遠心舌側髄室角がさらに小さく,2.0mmであった.頬舌側溝ならびにトリゴニッド切痕から髄室までの距離は頬側溝が最も大きく,3.0mmであった.髄室から歯冠外周までの距離について,髄室角の最小値は,舌側而観の近心髄室最突出部から近心側までと,髄室角の切断而で近心舌側髄室角から舌側までの2,1mmであった.髄室最大豊隆部では,近心頬側隅角都を除いた部位が約1.7mmで小さかった.髄室最陥凹部と歯頸部での最小距離は約1.4mmであった.中央窩から髄室までの距離は2.4mmと小さく,連合隆線部での距離は2.8mmであるが, この付近の中央髄室最突出部は, 咬合面により突出していた.咬頭頂に対して最も接近している髄室角は,近心舌側髄室角であり,遠心舌側髄室角が最も内方にあった.歯根の吸収段階では,髄室から咬合面までの距離が,とくにI型の近心頬舌側髄室角部で小さいため,窩洞形成には十分な注意が必要と思われた.
  • 野坂 久美子, 伊藤 雅子, 小野 玲子, 熊谷 恵津子, 甘利 英一
    1988 年 26 巻 3 号 p. 491-506
    発行日: 1988/09/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    下顎第二乳臼歯40歯を用い,髄室から歯冠表面までの距離を測定した.研究方法は,上顎乳臼歯,下顎第一乳臼歯と同様である.観察面は,咬合面観,頬舌側面観,近遠心面観,ならびに中央窩における近遠心,頬舌側の切断面である.
    結果:髄室から咬合面までの距離では,頬側而観における近心頬側髄室角の2.7mmが最小値で,髄室角の切断面では,さらに小さい2.4mmであった.また,頬側面観では髄室はほぼ中央に位置していたが,舌側面観では髄室角のみが近心側に偏位し,他の部位は中央に位置していた.隣接面観では,髄室角,髄室最大豊隆部が舌側へ偏位していた.髄室から歯冠外周までの距離について,髄室角では,隣接面観の舌側の2.6mmが最小値であり,髄室角の切断面ではさらに小さい2.3mmであった.髄室最大豊隆部から歯冠外凋までの距離の最小値は, 隣接面観の近遠心側の2.0mmであった.髄室最陥凹部,歯頸部でも,隣接面までの距離が小さく,前者で1.9mm,後者で1,6mmであった.中央窩から髄室までの距離は,約3.1mmであった.咬頭頂に対する髄室角の位置は,遠心髄室角と遠心舌側髄室角がより内方に位置し約1.5mmであった.他の髄室角は1mm弱内方に存在した.歯根の吸収段階では,髄室から咬合面までの距離で,遠心頬側髄室角付近のII型が大きい距離であった.しかし,近心頬側髄室角は咬合面へ強く突出し,その距離が最小であることから,この部位の窩洞形成には十分に注意する必要がある.
  • 中村 伸江, 森尾 善子, 志渡澤 きみえ, 白川 美穂子, 三浦 一生, 長坂 信夫
    1988 年 26 巻 3 号 p. 507-516
    発行日: 1988/09/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    本研究は,乳幼児のプラークコントロールや咬合育成管理の方法を検索する目的で,各月齢での萌出状態を把握するため,満1カ月から3歳までの健康な乳幼児30名を対象に,乳歯の萌出状態を,ステージ1:切端および咬頭のみの萌出,ステージ2:歯冠部1/4~1/2の萌出,ステージ3:歯冠部1/2以上の繭出,ステージ4:完全萌出の4つのステージに分け,2週間間隔で追跡調査を行った.萌出開始時期,歯冠1/2萌出時期,各萌出状態における経過期間,歯種間における萌出状態の時期的関係について検討し,以下の結果を得た.
    1)萌出開始時期は萌出順にA6.5カ月,A8.5カ月,B10.0カ月,B10.9カ月,D14.6カ月,CD15.4カ月,C16.3カ月,E24.2 カ月,E26.7カ月で,性差は認められなかった.この時期の個人差は,Eが大きい以外,他はすべて2カ月前後であった.
    2)歯冠1/2萌出時期は,Aが最も早く8.5カ月,Eが最も遅く29.1カ月で,萌出開始より平均2.1カ月を要した.個人差は,萌出開始時期とほぼ同様な値と傾向を示した.
    3)各萌出状態における経過期間は,すべての歯種でステージ1が最も短く,次にステージ2で,ステージ3は最も長かった.
    4)各歯種について萌出状態の変化時期を求めることができた.
    5)歯種間の萌出状態の関係をみると,切歯部では先に萌出した歯がステージ2またはステージ3に達してから次の歯が萌出しており,乳犬歯と第一乳臼歯は切歯がすべてステージ3に達してから,ほぼ同時に萌出を認めた.第二乳臼歯は他の歯がすべて完全萌出に達してから萌出した.
  • 森尾 善子, 白川 美穂子, 中村 伸江, 三浦 一生, 長坂 信夫
    1988 年 26 巻 3 号 p. 517-526
    発行日: 1988/09/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    我々は,咀嚼機能の発達経過を知るために,統一された離乳方法が行われている保育園児を対象に,2週間間隔で食物摂取状態の調査を行った.対象児は,満4カ月から23カ月までの健康な乳幼児28名であった.乳中切歯,乳側切歯,第一乳臼歯について各々萌出程度を加味した6型の萌出型を決定し,食べ方は第1報の9項目を細分化して14項目とした.食物摂取状態の推移を萌出型別に検討し,以下の結果を得た.
    1)乳中切歯の萌出型別では,上下顎の歯の接触が開始する,すなわち上下顎歯冠1/2まで萌出した状態で,食物摂取状態の著明な変化を認め,「舌をよく突き出す」,「形のある物は食べにくい」が減少し,「主に前歯部でかんでいる」が増加した.
    2)乳側切歯の萌出型別では,著明な変化は見られなかった.
    3)第一乳臼歯の萌出型別では,上下顎の歯の十分な接触が開始すると考えられる,すなわち上下顎歯冠1/2以上萌出した状態で,著明な変化を認め,「臼歯部でかんでいる」が100%になった.
  • 吉田 みどり, 桜井 聡, 斎藤 峻, 神山 紀久男
    1988 年 26 巻 3 号 p. 527-534
    発行日: 1988/09/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    小裂窩溝部の齲蝕予防法としては,シーラントが臨床で応用されているが,今回,クラレ社よりシーラント材直下エナメル質へのフッ素の供給を目的としたフッ素徐放性シーラント(Fシーラント)が開発され提供を受けたので,同材料のフッ素放出特性,ヒトエナメル質および合成エナメル質への沈着について,in vitroの実験を行い,以下の結果を得た.
    1)Fシーラントから微量ではあるが長期間にわたりフッ素の放出が見られる.しかし,放出量は経日的に減少する.
    2)Fシーラントを接着したアパタイト面ではフッ素の取り込みが起こり,2週間ではフッ素の取り込みはアパタイトの表面付近に限局するが,接着期間が長くなるほど深部にまで取り込まれる.
    3)Fシーラントを接着したヒトエナメル質のフッ素含有量は,コントロールに比べ有意に高い値を示す.
    4)ヒトエナメル質へのフッ素取り込みは,4週では2週のほぼ2倍となり,長期間の接着によりアパタイト同様,フッ素の深部への浸透が起きる.
    5)以上の結果,Fシーラントのフッ素は,微量ではあるが長期にわたり放出し,Fシーラント下のエナメル質の接触面のみならずその深部にまで取り込まれ,エナメル質耐酸性の向上及び再石灰化の促進に寄与することが推測される.
  • 旭爪 伸二
    1988 年 26 巻 3 号 p. 535-555
    発行日: 1988/09/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    本研究は,正常咬合者と叢生者の比較により,各咀嚼筋間の発育段階に基づき差異の生じる原因を知る目的で顎顔面形態,歯列模型,咬合接触個数,咀嚼筋筋電図の分析を行った.被検者はHellmanの咬合発育段階IIA,IIIA,IIIC,IVAの対照群と叢生者群各10名,合計80名であり,以下の結論を得た.
    1)側貌頭部X線規格写真と,歯列模型の分析では,叢生者群は上下顎骨の前後的な奥行きが小さく,上下顎の歯列弓が小さいという形態的特徴をもっていた.
    2) 咬合接触個数は,IIICとIVAで,叢生者群の臼歯部および総数が有意に少なかった.
    3)筋電図積分値による分析では,両群ともに従来の報告と同様の結果が見られた.
    4)片側咀嚼の積分値による分析では,咬合の発育により,咀嚼筋は咀嚼側のMの働きがより優位になることが,両群に共通した傾向と考えられた.
    5)対照群の咀嚼リズムは,IIIAを除いて安定しており律動的であったのに対し,叢生者群ではIIIC以降も変動が大きく,律動性に欠けていた.
    6)叢生者群のSP出現頻度は低く,SPDもすべての段階で対照群より短縮していた.
    7)本研究結果から,咀嚼筋積分億で叢生者群にみられた特徴的な咀嚼パターンを生じさせる原因に最も近いものとして咬合接触個数が考えられ,上下顎の咬合の調和が重要であると思われた.
  • 藤原 卓, 武井 勉, 河野 仁美, 笹田 英子, 泉谷 明, 大嶋 隆, 祖父江 鎮雄
    1988 年 26 巻 3 号 p. 556-563
    発行日: 1988/09/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    健常日本人小児327名の唾液よりStreptococcus mutansを分離し,唾液中菌量,血清型,ガラス管壁への付着率,グルコシルトランスフェラーゼ活性を調べた.これらの指標と小児の齲蝕罹患状態を示す指数との相関を全保菌者を対象に,さらにc/e/f型のS.mutansを保菌する群(c/e/f群),d/g型のS.mutansを保菌する群(d/g群),両者を保菌する群(混合群)に群分けして検討した.
    その結果S.mutansの分離頻度はc/e/f群75.9%,d/g群15.7%,混合群8.4%であった.c/e/f群とd/g群の保薗者では齲蝕罹患状態および唾液中S.mutans数に明確な差が認められなかったが,混合群のそれらは他の2群よりともに高い傾向を示した.全保菌者,c/e/f群,d/g群では,唾液中のS.mutans数と齲蝕罹患状態との間に有意の相関が認められた.この相関性はc/e/f群の方がd/g群より強かった.さらに分離した菌別に見ると,c/e/f型あるいはd/g型のS.mutansのガラス管壁への付着率とそれらの保菌者の齲蝕罹患状態との間には有意の相関がみられ,その相関性はd/g型の方が明確であった.
  • 太田 信子, 箙 早苗, 森 律子, 小山 トク, 渡辺 孝夫
    1988 年 26 巻 3 号 p. 564-576
    発行日: 1988/09/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    埼玉県大宮市一歯科医院で実際に行われた食生活指導の資料を用い個人歯科医院に来院した3歳から5歳までの幼児患者96人(男46人,女50人,平均年齢3.9歳)の食生活の実情を調査した.その結果,齲蝕罹患患者数は90人で齲蝕保有率は93.8%であった.厚生省齲蝕罹患型分類によるとO型6人,A型12人,B型42人およびC型36人で齲蝕の重症の型で大半を占めていた.
    1人1日平均食品群別摂取量から香川の目標値を基準とした充足率をみると全体では11食品群のうち緑黄色野菜,乳および乳製品,卵類,芋類,淡色野菜,油脂など8種に摂取量不足がみられ,特に重症のC型では不足する食品群の数が10種と最も多かった.砂糖類,その中でも乳酸飲料の摂取量は齲蝕罹患型の重症程増加していた.1人1日平均栄養摂取量について厚生省59年度3~5歳児栄養所要量を基準に栄養素の充足率を求めたが全体ではカルシウム,ビタミン類は過剰,エネルギー,鉄,蛋白質は不足を示し,齲蝕罹患型の重症で鉄は有意に不足していた.1人1日平均食品数は20.3種で極めて少なかった.また,これは僅かであるが齲蝕罹患型の重症程減少していた.その他栄養比率,動物性蛋白質対植物性蛋白質比,間食の回数,食事と間食の比率を求めたが齲蝕罹患型別に有意な所見はみられなかった.
  • 小口 春久, 石井 佳子, 及川 清
    1988 年 26 巻 3 号 p. 577-583
    発行日: 1988/09/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    Ampicillin(ABPC)坐剤(KS-R1)は,添加剤として脂肪酸の一種であるカプリル酸のナトリウム塩,(Ca-Na)を有しており,直腸からの吸収が速かであり,しかも排出は抑制されており,広い抗菌スペクトルを有しており,抗菌力も優れている抗生剤坐剤である.
    今回,我々は齲蝕治療のために本学歯学部小児歯科外来を訪れた全身性基礎疾患を有する患児のうち,歯科治療に伴って発症する細菌性感染の予防を目的として,年齢4歳0カ月から8歳11カ月までの患児10名に本剤を投与した.また, 年齢4 歳1 カ月から8 歳9 カ月までの患児5名に同量のAmpicillinを内服させ,Ampicillinの血中濃度ならびに副作用の有無について調査して比較検討した.
    その結果,本坐剤を250mg投与して15分経過後,Paper disc法を用いAmpicillinの血中濃度を測定したところ,平均測定値は7.75μg/mlであり,経口投与の場合と比較して約3倍の高い値を示した.本剤使用による副作用は全く認められなかった.細菌性心内膜炎を併発した患児は皆無であり,歯科治療における予防投薬剤として良好な成積を示した.
    本剤は,種々の理由で内服が不可能である場合や,静脈内注射を実施することが困難な症例に対して,ABPC製剤として極めて有効な薬剤であると考察され得た.
  • 武田 泰典, 黒田 政文, 鈴木 鍾美, 甘利 英一
    1988 年 26 巻 3 号 p. 584-588
    発行日: 1988/09/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    含歯性嚢胞を伴った埋伏下顎右側第二大臼歯にみられた限局性の高度のエナメル質形成不全の一症例を報告した.組織学的にはエナメル質が全層にわたって欠如している部分と,正常の厚さの半分まで形成されている部分とがあった.象牙質ならびに歯髄組織には顕著な変化はみられなかった.今回の症例と文献的考察とから,含歯性嚢胞の組織発生には,歯冠の硬組織形成完了後に退縮エナメル上皮層に嚢胞化が生ずるものと,硬組織形成期にエナメル器に嚢胞化が生ずる二つの様式が考えられた.
  • 細矢 由美子, 古澤 潤一, 有冨 匡子, 城臺 維子, 行成 哲弘, 後藤 譲治
    1988 年 26 巻 3 号 p. 589-600
    発行日: 1988/09/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    昭和58年度から昭和60年度の3年度に亘り,長崎大学歯学部小児歯科診療室で乳歯歯冠修復処置を受けた患児780名に対して施された乳歯歯冠修復処置5195例について,応用状況を調査し,下記の結論を得た.
    1.乳前歯部については,コンポジットレジン充填の応用頻度(77.8%)が最も高く,次いでコンポジットレジン冠(18.2%) の順であった.
    2.乳臼歯部については,既製金属冠の応用頻度(45.3%) が最も高く, 次いでインレー(22.7%) , コンポジットレジン充填(20%),アマルガム充填(11.5%) の順であった.
    3.乳臼歯部の修復歯面数別応用状況は,修復歯面が1面の場合は,コンポジットレジン充填(56.2%)とアマルガム充填(40.5%)が多用されていた.
    4.乳臼歯部の隣接面を含む窩洞に対する応用頻度は,インレー(76.8%)が最も高く,次いでコンポジットレジン充填(15.3%) , アマルガム充填(7.4%) の順であった.
    5.コンポジットレジン充填は, 齲蝕症第1 度の応用頻度が高く, 乳前歯部の98.8%,乳臼歯部の74.8%に用いられていた.
    6.齲蝕症第3度と第4度の場合は, 乳前歯部ではコンポジットレジン冠(51.2%,88%),乳臼歯部では既製金属冠(92.2%,100%)が多用されていた.
  • 細矢 由美子, 有冨 匡子, 古澤 潤一, 城臺 維子, 清水 裕之, 梅山 望, 後藤 譲治
    1988 年 26 巻 3 号 p. 601-610
    発行日: 1988/09/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    昭和58年度から昭和60年度の3年度に亘り,長崎大学歯学部小児歯科診療室で永久歯歯冠修復処置を受けた患児371名に対して施された永久歯歯冠修復処置1415例について応用状況を調査し,下記の結論を得た.
    1.前歯部については, コンポジットレジン充填の応用頻度(85.8%) が最も高かった.
    2.臼歯部についても,コンポジットレジン充填の応用頻度(44.2%)が最も商く,次いでインレー(26.4%),アマルガム(23.8%)の順であった.
    3.臼歯部については,修復歯面数が1面の場合は,コンポジットレジン充填(53.4%)とアマルガム充填(41.4%)が多用されていた.
    4.臼歯部の隣接面を含む窩洞に対する歯冠修復応用頻度は,インレー(71%)が最も多く,次いでコンポジットレジン充填(15%),アンレー(8.3%),アマルガム充填(5.7%)の順であった.
    5.コンポジットレジン充填は,齲蝕症第1度及び齲蝕症第2度への応用頻度が高く,それぞれ前歯部の100%と90.1%,臼歯部の92.7%と37.3%に用いられていた.
    6.齲蝕症第4度の場合の応用頻度は,前歯部では合釘継続歯(66.7%)が最も多く,臼歯部では,全症例に既製金属冠が用いられていた.
  • 中島 正人, 信家 弘士, 三宅 雄次郎, 森尾 善子, 宮迫 隆典, 長坂 信夫
    1988 年 26 巻 3 号 p. 611-620
    発行日: 1988/09/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    広島大学歯学部附属病院小児歯科外来において,昭和55年1月より昭和60年12月までに,水酸化カルシウム系剤(カルビタール)による生活歯髄切断処置をおこなった乳歯のうち,無作為に抽出した100歯(男子42名,女子37名,計79名)に対し,X線学的にてその経過を観察し,検討をおこなった.なお,経過観察のために使用したデンタルX線写真は,読影可能なもののみを用いた.その結果は,以下の通りであった.
    1.最終観察時に経過良好と判定されたのは74歯(74.0%)で,経過不良と判定されたのは26歯(26.0%)であった.観察期間別にみると施術後24カ月以上30カ月未満において経過不良を多く認めた.
    2.本調査, 検索では, 生活歯髄切断処麗後に撮影されたデンタルX 線写真をすべて読影,精査し,その都度経過を判定したため,経過観察症例数は197例となった.その経過観察時の成績では,施術後24カ月までは不良発現率が低いが,24カ月以上30カ月未満においては高く認めた.
    3.歯種別および施術時年齢別の成績では, ほとんどの症例において施術後30カ月までに不良が発現しており,歯種間では下顎第2乳臼歯に不良の発現率が高く,前歯部で低かった.また,施術時年齢別では4歳,5歳において不良の発現率が高かった.
    4.本調査における不良例26歯について,不良と判定された際の異常所見は,内部吸収16歯,歯根の異常吸収9歯,白線の消失18歯,根尖部または根分岐部歯槽骨の吸収16歯であった.
    5.庇蓋硬組織(Dentin Bridge)の形成は,X線学的に,施術後2カ月より発現を認め,33歯41根管に認められた.
  • 関 直樹, 足利 正光, 岡 賢, 下岡 正八
    1988 年 26 巻 3 号 p. 621-630
    発行日: 1988/09/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    4歳7カ月の男児で上顎右側第二乳臼歯が完全埋伏している症例を経験し,これを開窓,牽引誘導した.
    本症例は,上顎骨の劣成長に伴う反対咬合を呈し,骨年齢は暦齢より約2年の遅れを示した.なお,全身的,局所的に第二乳臼歯の埋伏に関連すると思われる所見および既往は認められなかった.
    牽引誘導には,保持装置に矯正用ブラケットおよびフック付きインレー,誘導矯正力にエラスティックスレッド,アップライトスプリング,固定源としてリンガルアーチを応用した.そして,約12カ月で上顎右側第二乳臼歯を歯列内に誘導できた.
    牽引誘導後のオルソバントモグラフX 線写真所見より,上顎右側第二乳臼歯の後続永久歯である第二小臼歯の歯胚の存在が確認されたが,第二小臼歯の歯胚は転位像を示していた.
    永久歯の萌出時期に約2年の遅れが見られるが,齲蝕以外の不快事項は生じておらず,引き続き経過観察中である.
  • 1988 年 26 巻 3 号 p. 631-717
    発行日: 1988/09/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
  • 1988 年 26 巻 3 号 p. 717-
    発行日: 1988年
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
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