小児歯科学雑誌
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Ricketts分析法の乳歯列期における応用
第2報 年間成長量に関する検討
藤井 悟加藤 栄行菅野 真由美金岡 雅浩大久保 文子齋藤 健志渡邉 康文成原 雅道山田 博赤坂 守人
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1988 年 26 巻 4 号 p. 755-768

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抄録
Ricketts分析法を日本人乳歯列期へ応用する研究の一環として,3歳から各年齢毎10歳までの正常咬合児計221名の側貌頭部X線規格写真を資料として,平均値,標準偏差を求め,回帰直線の係数より年間成長量を算出し,乳歯列期群(3~5歳)と,それ以後の混合歯列期群(6~10歳)との間で比較検討を行なったところ以下のような結論を得た.
1)歯牙計測項目は,Molar relation,Canine relationにおいて,乳歯列期から混合歯列期にかけてほとんど変化はみられなかったが,切歯計測項目では,乳歯,永久歯の差が大きかった.
2)上下顎の関係を示すConvexity,Lower facial heightは,混合歯列期とほぼ同様の結果となった.
3)頭蓋底と顔面の関係では,乳歯列期から混合歯列期にかけて,Point Aは,前頭蓋底にたいして後退傾向を示し,Pegonionは,従来の報告にある混合歯列期以後の前方成長より少なかった.
4)Internal structureでは,乳歯列期から混合歯列期にかけて,従来の報告と異なりCranial deflectionが増加し,Mandibular arcの成長変化がなかった.しかし,その他の項目は,乳歯列期から混合歯列期にかけて一定の成長を示した.
5)乳歯列期への応用に際しては,Clinical norm,Clinical deviationは,各年齢の平均値,標準偏差を考慮する必要がある.
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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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