小児歯科学雑誌
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下顎右側第二大臼歯の近心傾斜の症例
保井 純枝永井 利明河原 茂高石 佳知嘉藤 幹夫大東 道治宮崎 健稗田 豊治
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1988 年 26 巻 4 号 p. 822-827

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抄録

歯は,通常一定時期に,左右同名歯がほぼ対称的に萌出するが,片側歯が萌出しているにもかかわらず他側の同名歯が萌出せず,しかも,それが転位または捻転していることはしばしば認められる.このような萌出遅延の歯,すなわち未萌出歯を放置しておくことは,咬合機能上のみならず審美性をも障害することになる.われわれは下顎左側第二大臼歯は萌出中で右側第二大臼歯は歯槽部の若干歯肉の膨隆感が認められた程度で,エックス線診査では,下顎右側第二大臼歯が萌出前に歯槽骨内で近心傾斜し,第一大臼歯の歯頸部付近を中心に遠心根を吸収しているところを発見した.患児の栄養状態並びに身体的発達などに特記点はなく歯の未萌出を起こすような原因は不明であった.これらのことにより,特に第二大臼歯が完全萌出するまでエックス線等を含む定期検診の重要性が示唆された.

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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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